2012年5月18日(金)
緊迫 大飯原発再稼働
判断に注目のおおい町長
創業会社は関電と親密
政府が再稼働を狙う関西電力大飯原発3、4号機の地元、福井県おおい町の時岡忍町長(74)の再稼働に前向きな発言に注目が集まっています。そんな中、関西電力と時岡町長とのただならぬ関係を問う声も強まっています。
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直接受注3億円超
本紙は、時岡町長が創業し、今も役員をつとめる鉄工会社「日新工機」(おおい町、資本金1000万円)が原発関連の工事を8年間で4億6800万円分も受注し、関電からの直接受注が3億円を超えることを1月4日付で報じました。
この問題は「朝日」(1月4日付夕刊)、「東京」(2月26日付)、「毎日」(4月6日付夕刊)などが追いかけて報道。再稼働のカギをにぎる原発立地自治体トップと電力会社との不適切な関係を指摘しています。
飲食・ゴルフも
時岡町長の長男で、同社社長の時岡良樹氏(43)は、本紙の取材に同社と関電の密接な関係を認めていました。
―基本的に原発関係の工事をする会社なのか?
時岡社長 そうです。メンテナンスの工事をやらせてもらっている。(大飯原発)3、4号機建設当時におやじ(時岡町長)が作った会社。
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―1件あたり3600万円や1900万円と関電が直接発注した工事の額はどれも大きい。
時岡社長 全部が全部、額が大きいわけじゃない。工事経歴書には大きい工事をとりあえず載せた。(関電の仕事で)小さいものは何十万円、何万円の工事もある。
―会社の接待交際費で関電と飲食やゴルフなどに行くことはあるのか?
時岡社長 ありますよ。
大飯原発の稼働が同社の売り上げに直結しているのは、同社自身も認めるところです。2010年度の事業報告書では「発電所メンテナンス工事の中で不具合等による新規修繕が追加され売り上げ確保に繋(つな)がる事となった」と記しています。
公平性に疑問
おおい町議会は14日、原発再稼働を容認する決議を賛成多数であげました。日本共産党の猿橋巧町議の反対を押し切ってのものでした。これを受けて、時岡町長は、月内にも判断を示すと思われます。しかし、親族企業が原発マネーの恩恵をうけていることは、時岡町長の公平性に大きな疑問が残るといわざるをえません。
日新工機と時岡町長 1988年に時岡町長が創業。今も全株式の約46%を保有する筆頭株主です。旧大飯町の収入役に就任する直前の96年6月まで、同社の社長でした。その後、非常勤の取締役となっています。同社の2003年度から10年度までの工事経歴書によると、大飯原発関連の工事を少なくとも73件、計4億6800万円分を受注。関電からの直接受注は、少なくとも19件、計3億400万円となっています。