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2012年5月18日(金)

消費税増税 政府・与党のごまかし

衆院特別委

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 17日の衆院特別委員会で審議入りした消費税増税法案を柱とする社会保障と税の「一体改革」関連法案。与党が繰り返した言い訳やごまかしを見てみると―。


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(写真)与党議員の質問に答弁する野田首相=17日、衆院社会保障・税特別委

「肩車」社会になる?

 民主党の細川律夫前厚労相は、高齢者1人を現役世代3人で支える「騎馬戦型」から、高齢者1人を現役世代1人で支える「肩車型」の社会になっていくと強調。「少子高齢化危機」論を唱えて、消費税増税を正当化しました。

 しかしこの議論は「現役世代」の中に20〜64歳しか含んでいません。65歳以上の働き手は年々増えており、1人の働き手は高齢者だけでなく子どもも支えています。総人口を労働力人口で割れば、今後も大きな変動はありません。

 また、細川氏は「負担は現役世代中心、給付は高齢者中心」として、「世代間不公平」論を展開。「全世代対応型の社会保障にする」と述べましたが、実際は高齢者にも現役世代にも痛みを強いるのが「一体改革」です。

 「現役世代への支援」の象徴とされる子ども・子育て新システムも、株式会社の参入を進め、幼児教育・保育を金もうけの道具にするもの。細川氏自身、「質の低下を心配する声がある」と述べざるをえませんでした。

財政再建のため?

 「欧州の債務危機は対岸の火事ではない」―。野田首相も前原氏も、こういって「消費税の増税による財政の健全化」を主張しました。

 しかし、「国際競争力から考えると法人税は下げることが必要」(前原氏)などと、260兆円もの内部留保を抱える大企業には減税の大盤振る舞いを正当化。一方で、国民には20兆円を超える負担増になることには口をつぐみました。

 こんな国民生活を犠牲にするやり方では、景気を悪化させ、税収も落ち込ませることは明らかです。実際、橋本内閣が1997年に消費税を5%に引き上げて、税収は増税前より14兆円も減少しました。だから欧州でも、消費税増税と緊縮政策一辺倒の推進派が選挙でノーの審判を受けているのです。

景気・経済は大丈夫?

 野田首相は「財政再建と同時に、経済成長を実現する」と強調しました。しかし、消費税増税と社会保障の連続改悪で、どうやって経済成長をはかるのかという具体策は示せませんでした。前原氏も「消費税を上げたら景気がもっと悪くなるのではないか」と指摘せざるをえないほどでした。

 安住淳財務相も「日本の縮まりだした(市場の)パイで経済成長を維持するのは難しい」などといいだし、内需縮小に拍車をかける消費税増税の害悪がかえって浮き彫りに。

 白川方明(まさあき)日銀総裁は「増える高齢者が利用する医療・介護などサービスの潜在需要増を実現する」と、高齢者需要の掘り起こしに期待をかけましたが、年金削減などで高齢者の所得を奪っておいて、その需要をあてにするという矛盾に満ちたものでした。

「身を削る」とは?

 前原氏は「国民に負担を求めるのであれば、やはり政治家自らまずは身を削るべきだ」として、議員定数削減や「行革」を主張しました。国民新党の下地幹郎幹事長も、衆院比例定数80削減について「民主党として法案を出したほうがいい」と迫りました。

 野田首相も、2014年4月の消費税増税前に定数削減を実現できるよう「幹事長レベルでの政治判断を含んだ(与野党)協議を急ぐよう、きのう輿石幹事長には指示した」と応じました。

 国会の議席は、主権者である国民が民意を政治に反映させるためのもの。“身を削る”のではなく“民意を削る”ことを、与党が勝手にできるはずがありません。しかも、増税を押し付ける口実として削るというのは本末転倒です。


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