2012年5月18日(金)
札幌姉妹孤立死 生活保護申請権を侵害
再発防止へ調査団が提言
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札幌市白石区の姉妹孤立死事件を現地調査していた全国「餓死」「孤立死」問題調査団は17日、3日間の調査を終え、餓死や孤立死の根絶のための「提言」を発表しました。
調査団は白石区役所で、孤立死した姉妹の生活保護申請時の相談状況を調査、同区などの保護受給者12人からも聞き取りました。
同保健福祉部への調査で区側は、申請を受け付けなかったのは「申請意思を示さなかったから」との回答に終始。調査団は、区側が姉に「懸命な求職」を求めていたことも示し、「誤った教示で保護要件を欠くと誤信させ、申請を断念させたもので、申請権侵害は明らか」としました。
調査後まとめた提言では、「生活保護制度の利用によって、経済的な生活の基盤が確保されていれば最悪の事態は防げた可能性が高い」とし、事件の根絶のために違法な申請権侵害を認め、生活保護を必要とする人が漏れなく受けられること、ライフライン業者などとの連携強化、ケースワーカー職員の十分な配置と専門性の向上―など5点を強く求めました。
調査を終えて、団長の井上英夫金沢大学教授は「25年前にも同様の事件があり、白石区では根深い問題がベースにあって、事件はそれを象徴するもの。保護費の財源の問題など国の問題も構造的にある」と述べました。