2012年5月16日(水)
原基法に安全保障条項
自公案 国民監視にベール
民主合意狙う
政府の「原子力規制庁」設置関連法案に対抗して、自公両党が国会に提出した「原子力規制委員会」設置関連法案のなかで、原子力基本法に「安全保障に資する」ことを書き加えようとしていることがわかりました。
政府案は、国際的な動向を踏まえ放射線から健康や環境を保護する目的で原子力利用における「安全の確保」を行うことを原子力基本法に追加しています。自公案は、さらに「我が国の安全保障に資することを目的として、行うものとする」と書き加えています。
自民党関係者は本紙の取材に、「安全保障」を盛り込んだ理由として、周辺国の原発事故などからの放射能汚染の防護を挙げました。また、「テロ攻撃」対策も議論したとしています。「安全保障」を目的に加えれば、「有事」への備えなどを理由にして原発の情報公開などが制限され、国民の監視の目が届かなくなる恐れがあります。
自公案は、現行の原子力基本法が定める自主・民主・公開の「原子力利用3原則」をも突き崩すものです。
実際、自民党は「テロ対策」などの名目での警備強化のほか、情報公開のあり方まで検討するよう主張。野田内閣も立ち入り制限区域の拡大などの「テロ防護策」を主張しています。
また、自公案の「規制委員会」は、政府案の「規制庁」と同様、「環境省の外局」と規定しており、推進機関から分離・独立した規制機関になりません。
民主党は自公案を丸のみし、「3党合意」で成立させようと狙っています。