2012年5月12日(土)
代読裁判 元市議勝訴
名古屋高裁 参政権侵害は悪質
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下咽頭がんが原因で発声障害を持った岐阜県中津川市の元市議・小池公夫さん(72)=日本共産党=が、代読による議会質問が認められなかったのは不当だとして争っている控訴審(名古屋高裁・渡辺修明裁判長)で11日、市に対して300万円の支払いを命じる判決が出されました。
渡辺裁判長は、表現の自由と参政権に対する侵害は悪質だったと認定。一方で、障害を持つ議員の発言方法は、議会の自主性・自律性にゆだねられるとし、代読という手段を主張した小池さんの「自己決定権」についての明確な言及は避けました。
安藤友人弁護団長は「判決は議会が発言方法を十分に講じず、原告の受けた苦痛は多大だったとし中核的な権利の侵害を認めたこと、障害者の発言に配慮を求めたことは評価できる」としながら、自己決定権については明確にせず、議会での不法を許すという弱点は残ると述べました。
小池さんは「6年もの間、支援してくれた皆さんと勝訴を喜べるのはうれしい。ただ、障害者にも健常者と同じように議会活動は保障されると判断してほしかった。被告らには謝罪と議会改革に取り組むことを求めたい」と語りました。
小池さんは2003年4月の再選後、代読発言を求めましたが、議会運営委員会はパソコンを用いた発言のみを許可。小池さんは発言手段を選ぶ権利を主張し、代読に反対した議員と議長、市を相手に訴訟を起こしました。
一審・岐阜地裁は原告の主張を一部認めながら、参政権の侵害は一時期に限ったことだとし、市に10万円の支払いを命じました。原告、被告とも控訴していました。