2012年5月12日(土)
子育て新システム
保育所が利用者選ぶ
所得による格差招く
高橋質問で明白に
保育を市場化する「子ども・子育て新システム」の衆院本会議(10日)の質疑で、「保護者が保育所を選ぶのではなく、逆に保育所から選ばれることになる」(日本共産党の高橋ちづ子議員)恐れが改めて明白になりました。
新システムでは、これまで保育所では認められていなかった教材費や制服代などの実費や、それ以外の上乗せ費用の徴収が認められます。実費徴収には上限額の基準を設けるといいますが、それ以外の上乗せ費用は上限なし。野田佳彦首相は、「低所得者には免除することを(上乗せ徴収を認める)要件とする」ので問題ないかのような答弁をしましたが、これこそ、保育事業者が保護者を選ぶ“逆選択”をもたらすものです。
市場化された新システムにおいては、低所得者の上乗せ費用を免除すれば、その分は施設側の持ち出しとなり、直接経営に響きます。施設側が、高い上乗せ費用でも滞りなく払ってくれる所得の高い利用者を確保しようとするのは当然です。
政府は、「正当な理由がない限り、利用の申し込みを拒めない応諾義務を施設側に課す」といいますが、申し込みが定員を上回れば利用を断る正当な理由となり、施設側が利用者を選ぶのです。
しかも、保護者が保育事業者と直接契約する際には、所得階層が明記された「保育認定証」を示すことになります。
所得の低い親は、高い上乗せ徴収がある園には初めから申し込まないという状況が当然、予想されます。
高い上乗せ徴収をとる分、保育環境が整った園と、上乗せがない代わりに保育環境が劣る園が出てくるのは避けられません。人格形成にとって重要な乳幼児期の保育に親の所得による容認しがたい格差をもたらします。