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2012年5月9日(水)

「社会保障と税の一体改革」―年金

衆院本会議 高橋議員の質問

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 「一体改革」法案に対する日本共産党の高橋ちづ子衆院議員の質問(8日、衆院本会議)は次の通りです。


 日本共産党を代表して年金「機能強化」法案、被用者年金一元化法案について質問します。

 日本共産党は、一体改革という名の社会保障切り捨てと消費税増税に断固反対です。やるべきことは、小泉「構造改革」の下で福祉も自己責任として壊されてきた社会保障を、再構築することです。

 「社会保障と税の一体改革」の基本的認識をうかがいます。第一は、消費税増税が被災地復興を妨げる点です。

 帝国データバンクによると、東日本大震災による企業倒産は2月末で630件です。岩手県宮古市で靴屋を営む男性は、「増税なんてとんでもない」と訴え、大船渡市の漁師は、自力で作業場をつくり漁を再開しました。作業場の女性たちは「踏ん張る土台として、自宅を再建したい」と口々に訴え、集団移転の候補地も自ら探しました。「そんな時に増税なんて」と憤っています。多くのものを失い、多くをしょいこんでも再起をめざしている被災者に増税すべきではありません。

 第二に「後世にツケを回さない」ことを最大の眼目としている点です。

 1999年の厚生白書は「高齢者の労働意欲は、少子高齢社会に対する悲観的な見方を変えていくだけの力がある」と明言しています。

 1999年当時の65歳以上の労働力人口は475万人、2010年は585万人に増えています。総理がいう「騎馬戦から肩車型」はまやかしにすぎません。単純に20歳から64歳までを生産年齢人口として、高齢者人口で割っているからです。しかし1人の働き手は、高齢者だけでなく自分と子どもなども支えています。労働力人口を総人口で割ると、1人が約2人を支えるという割合は今後も大きな変動はないはずです。

 後世にツケ回しをしないというなら、支え手を増やすことが最大のカギです。政府与党は、労働者派遣法を骨抜き成立させ、有期雇用についての労働契約法改正案では、入口規制を外しました。不安定雇用を増やすだけではありませんか。パート労働者への厚生年金適用は当然です。必要なことは、「職場で一番ベテランになっても1円も昇給なし」などの実態を直視し、均等待遇を確立すべきです。

 第三に、そもそも社会保障や社会保険とは何でしょうか。

 社会保険は単なる民間保険とは違って、憲法25条の生存権を国が保障するという社会保障の役割を備えているはずです。

 ところが、政府・与党社会保障改革本部では、社会保障制度の基本的考え方は「自ら働いて自らの生活を支え、自らの健康は自ら維持するという『自助』を基本とし」、これを補完する共助と公助が位置付けられています。共助のシステムは「負担の見返りとしての受給権を保障する仕組み」として、「社会保険が基本」とあります。つまり「払わない人には給付がない」単なる保険制度にしてしまうということではありませんか。

 経団連は、消費税を少なくとも10%と、消費税増税の旗振りをする一方で「基礎年金は全額税方式」を主張し、社会保険料の事業主負担をなくすことを求めています。企業負担は諸外国からみても高いとはいえず、むしろ応分の負担を求めていくべきです。

 次に年金法案について質問します。

 年金の支給要件を現行25年から10年間にすることは、私たちも提案してきました。あわせて無年金、低年金の解消へ思い切った取り組みが必要です。

 年金給付の特例水準解消として、3年間で2・5%の引き下げなどは、とんでもありません。そもそも特例措置は00年以降、厳しい経済状況や高齢者の生活に配慮してきたものです。その後も賃金、物価の下落傾向は続いていますが、正規から非正規へのおきかえで賃金の減少などが原因です。介護保険料は今回も平均で1000円近く値上げとなりましたが、こうした社会保険料等は物価指数に反映しません。物価が下がっているといっても年金生活者の生活実感とはかけ離れています。

 2・5%引き下げはやめ、給付抑制策としてのマクロ経済スライドは廃止すべきです。

 政府は、低年金者対策として6千円を上乗せするといいます。基礎年金満額受給者であれば合計で7万円になり、民主党の最低保障年金制度に近づくという、単なる数合わせです。しかし基礎年金のみ、旧国民年金受給者数は10年度末で832万人になりますが、平均受給額は4万9000円にすぎません。

 わが党は、基礎年金の2分の1は国庫負担という現行制度を発展させ、保険料の納付実績に関わりなく、基礎年金満額の半分を国が保障し、最低保障年金制度をめざすことを提案しています。

 消費税増税以外に道がないという社会保障の将来に、若い世代が希望を託せるはずもありません。無駄遣いを見直し、大企業や富裕層に応分の負担を求めて新たな財源を確保すること、人間らしく働けるルールづくりを確立していくことこそ急ぐべきです。


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