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2012年5月6日(日)

主張

全原発停止

撤退の政治決断を急ぐべきだ

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 北海道電力泊原発(北海道泊村)の3号機が5日夜定期点検のため停止し、全国に50基ある原発がすべて停止する事態となりました。42年ぶりです。全原発停止を避けようと関西電力大飯原発(福井県)3、4号機などの再稼働をねらってきた野田佳彦政権や電力業界など原発に固執する勢力を追い詰めた成果です。重要なのは原発からの撤退を実現することです。無謀な再稼働の押し付けをやめさせ、「原発ゼロ」の政治決断を政府に迫っていくことが求められます。

原発事故の異質な危険

 昨年3月の東日本大震災当時、全国に54基あった原発は、その後とくに被害が大きかった福島第1原発の1〜4号機の廃止が決まり、現在50基が残っています。そのうち震災前から事故や定期点検で停止していた原発に加え、震災で被害を受けた福島第1の5、6号機、第2原発(いずれも福島県)、東北電力女川原発(宮城県)、日本原電東海第2原発(茨城県)が停止し、予想される東海地震の震源域にある中部電力浜岡原発(静岡県)も停止しました。その後も定期点検などで運転を停止する原発が相次ぎ、ついにすべての原発が停止することになりました。

 東日本大震災で大きな被害を受け、すべての電源が途絶えて原子炉の冷却ができなくなり、建屋なども爆発して外部に放射性物質が拡散した福島第1原発は、事故から1年余りたっても炉心の状況さえわからない深刻な状態です。放射性物質の拡散は広範囲に及び、福島県内ではいまだに十数万人が避難生活を続けています。原発近くから避難させられた住民はいつになれば住み慣れた地に帰れるかもわかりません。事故が起きれば取り返しがつかない大きな被害をもたらす原発事故の「異質」な危険を浮き彫りにしています。

 野田政権と電力業界は原発を再稼働させようと、ストレステスト(耐性試験)や「安全基準」などを持ち出し、それさえパスすれば安全は確保されるとしてきました。しかし福島原発の事故さえ究明が尽くされていないのに、どんな対策をとれば安全かなどいえるはずがありません。政府が大飯原発の再稼働のために持ち出した「基準」は、事故直後の緊急対策や第1次のストレステストさえやれば、事故のさい不可欠な免震事務棟などの建設は「計画」だけでOKというありさまです。原因究明も、安全対策も、避難計画も抜きで、安全が保証されないのは明らかです。

 原発を規制する原子力安全・保安院が推進機関の経済産業省・資源エネルギー庁と一体となっていることが問題なのに、独立した規制機関の確立さえまだできていません。原発の再稼働など絶対に認められないのは国民世論です。

一日も早い撤退決断こそ

 原子力発電はもともと技術的に未完成で、現在の水準では「安全な」原発は実現不可能です。東日本大震災のあと、世界でも日本でも、原発からの撤退を求める声は急速に広がっています。

 政府や電力業界は原発を再稼働しなければ電力不足が起き「集団自殺」になるなどといいますが、それこそ悪質な脅しです。原発からの撤退を決断して資金や技術を自然エネルギーの導入や省エネ開発に振り向ければ、電力確保の見通しも広がります。求められるのは、一日も早い撤退の決断です。


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