2012年5月2日(水)
「動的防衛協力」の名での軍事同盟の危険な変質を許さない
日米首脳会談 志位和夫委員長の談話
日本共産党の志位和夫委員長は1日、日米首脳会談について次の談話を発表しました。
一、野田首相とオバマ大統領は、1日(日本時間)、ワシントンで日米首脳会談をおこない、「未来に向けた共通のビジョン」と題する共同声明を発表した。
日米首脳会談は、米軍と自衛隊の「動的防衛協力」に踏み出すなど、日本国憲法に真っ向から反する日米軍事同盟の侵略的変質、日本の経済主権を投げ捨てるTPP(環太平洋連携協定)の推進、国民の生命と安全を脅かす原発推進への日米協力をうちだすなど、異常な対米追随ぶりを際立たせるものとなった。
一、共同声明は、日米は「アジア太平洋地域と世界の平和、繁栄、安全保障を推進するためあらゆる能力を駆使し、役割と責任を果たすことを誓う」とのべ、日米軍事同盟を地球規模に拡大することを、あからさまに公言している。
とりわけ重大なのは、共同声明が、自衛隊と米軍の「2国間の動的防衛協力」の強化やグアムおよび北マリアナ諸島で「共同使用」する訓練場の建設などを明記した米軍再編見直し計画について、「地域の多様な緊急事態に日米同盟が対応する能力をさらに高める」とのべ、「防衛協力の更なる強化を目指す」と強調していることである。
日米の「動的防衛協力」とは、米軍と自衛隊が、海外で共同した軍事活動をおこない、「肩を並べて武力行使する」――「集団的自衛権行使」にむけた重大な一歩を踏み出そうというものである。それは、日米軍事同盟のきわめて危険な侵略的変質をはかるものであり、海外での武力行使を禁じた日本国憲法にまっこうから逆らうものである。
一、日米首脳会談は、日本の経済主権を投げ捨てるTPPへの参加に突き進むものとなった。首脳会談では、オバマ大統領が、保険、牛肉、自動車の3分野での規制緩和と「市場開放」への日本政府の取り組みを、日本のTPP参加の前提条件として迫り、共同声明は「2国間協議を引き続き前進させる」とした。TPP交渉の「入り口」から「アメリカ型ルール」の押し付けを迫る米国と、それに屈服する日本政府の姿勢が鮮明となった。
一、共同声明は、「原子力エネルギーの平和的、安全・安心な利用」での協力を打ち出した。民主党政権が、アメリカの「お墨付き」で、国民が強く反対する原発の再稼働や、「原子力エネルギー利用」の推進をはかるという立場を鮮明にしたことは重大であり、「アメリカ頼み」で、原発の維持・推進をはかろうという政府の姿勢は断じて許されるものではない。
一、こうした異常なアメリカ追随外交、「アメリカいいなり政治」は、根本からただされるべきである。日本共産党は、TPP参加反対、「原発ゼロ」の日本、基地強化反対、普天間基地の無条件撤去、憲法改悪反対など、一致する要求にもとづく共同のたたかいを前進させながら、「アメリカいいなり政治」の根源にある日米安保条約廃棄を求める国民的世論をひろげるために奮闘する。