2012年4月25日(水)
主張
「一体改革」特別委
徹底審議で増税法案を廃案に
民主党と自民党が消費税増税や年金削減、子ども・子育て新システムなど「一体改革」関連法案を一括審議する特別委員会を26日に設置することで合意しました。
重要法案を十把一からげにすれば、まともな審議の保証はありません。消費税の増税で一致する民主党、自民党などの談合の動きが強まる危険もあります。
経済も財政も共倒れに
消費税増税には世論調査で約6割もの国民が反対しています。10%への増税で13・5兆円もの負担増を強行されたら、暮らしも営業も成り立たなくなるからです。
消費税増税は日本経済を直撃します。ドルやユーロが弱くなって円高が定着すると同時に世界経済の不安定な動きが長期化しています。従来の輸出頼み、外国の需要頼みの成長路線の破たんは明白です。他方で内需は所得と消費が減り続け、低迷しています。消費税増税で内需を破壊すれば、日本経済は浮上の足掛かりを失って長期後退に陥らざるを得ません。景気後退で所得税や法人税の税収は大きく減り、財源を生み出すどころか財政危機を悪化させる反対の結果を招きます。
年金法案では物価下落時に据え置いたなどの「特例水準」解消を口実にして、3年間で年金受給額を2・5%も削減するとしています。物価下落といっても食料品は高止まりで、水光熱費や医療費などは値上がりしています。基礎的な生活費が増えているのに庶民の低い年金をさらに削減するのは生存権の侵害です。連動して一人親家庭の児童扶養手当や障害者手当なども過去の物価下落分1・7%を3年間で引き下げます。
年金法案には消費税増税を「財源」として低所得者に年金を加算する国民年金法の改定案も含まれます。しかし、金額は原則6千円にすぎません。消費税増税や年金減額など一連の負担増で大半は吹っ飛ぶ水準です。6千円の根拠は基礎年金満額と単身高齢者の基礎的消費支出の差額で、生活に必要な最低限の加算という位置付けです。むしろ、その最低生活費にも被害が及ぶ消費税増税の問題点が浮き彫りになっています。
一括審議の法案には保育の公的責任を投げ捨てる子ども・子育て新システム法案も含まれます。一括審議に含まれるかは流動的ですが、米国などで個人情報の悪用が問題になっている共通番号制法案もあります。拙速な審議は許されません。
消費税増税は民主党の露骨な公約違反です。その公約違反を野田佳彦首相は「社会保障の充実」を名目に押し通そうとしています。しかし、一括審議される法案を見ても年金や子育てなど社会保障の改悪が並んでいます。これらの法案の一つひとつが国民生活に重大な影響を及ぼす法案であり、それぞれ徹底審議が必要です。
消費税に頼らなくても
消費税増税に頼らずとも大企業と大資産家に応分の負担を求め、応能負担の原則で税制を改めることで社会保障の再生、充実の財源は生み出せます。消費税増税と、それを前提にした法案は徹底審議の上、国民にすべての問題点を明らかにして廃案にすべきです。
特別委員会の設置で消費税問題は重大な局面を迎えています。消費税増税反対の一点で運動を一段と強め、世論で国会を包囲しようではありませんか。