2012年4月24日(火)
きょうの潮流
地元でマスメディアを考える勉強会がありました。「テレビも新聞も、眉つばでみている」「何万人の集会でも無視するのは、なぜ?」。参加者から口をついて出るのは、マスメディアへの不信です▼中でも共通して出されたのは、原発報道への疑問です。助言者の元ワイドショープロデューサー・仲築間卓蔵さんが答えます。「マスコミは権力に許容された範囲の報道しかしていない。放射能問題はマスコミにとって虎の尾だ」▼許容範囲を超えたら、どうなるのか。一例として昨年末、低線量被ばくの問題を扱ったNHK番組に、原子力ムラの112人が連名で抗議文を送ったことが紹介されました。言い分は、「多くの国民を混乱に陥れる惧(おそ)れがある」。まるで自分たちは、原発事故への責任がないかのような物言いです▼興味深い資料があります。20年ほど前にまとめられた「原子力PA方策の考え方」です。作成したのは日本原子力文化振興財団。いかに原発への不安を払しょくするか。広報のあり方が、あの手この手で書かれています▼「マスコミ関係者に対する広報」のくだりでは、個人的なつながりを深め、「いろんな情報をさりげなく注入すること」が強調されます。「人間だから、つながりが深くなれば、当然、ある程度配慮し合うようになる」▼仲築間さんも現役時代、原発推進の番組作りを要請されたことがあるそうです。もちろん断ったとのこと。「作っていたら、ここでこんな話はできない」。制作者の良心です。