2012年4月20日(金)
全量再処理は高コスト
原発使用済み燃料 原子力委が試算
国の原子力委員会原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会は19日、原発の使用済み燃料の全量再処理を続けると、やめた場合より発電コストが1・5倍高くなるとの試算結果を発表しました。政府が進めている核燃料サイクル政策が、技術的に行き詰まっているだけでなく、経済的にも合わないことを示しています。
小委員会は、2010年から30年までの20年間に使用済み燃料を全量再処理した場合(1)と、再処理と再処理を行わず直接埋設する方法を組み合わせた場合(2)、全量直接埋設した場合(3)の三つのシナリオで発電コストを試算しました。その結果(1)は9・7兆円、(2)は9・1兆円から9・7兆円かかるのに対し、(3)は6・8兆円から6・9兆円になることがわかったとしています。
政府の核燃料サイクル政策は使用済み燃料を全量再処理することにしていますが、直接埋設したほうが3兆円安くなることになります。
小委員会はその一方で、全量再処理をやめた場合、再処理施設の廃止費用などが4・65兆円必要になるとの試算も示しました。しかし、青森県六ケ所村の再処理工場は建設中から現在の試運転期間に至るまで数々のトラブルが発生して計画通り進んでいません。今後さらに多額の費用がかかるとみられています。