2012年4月20日(金)
被災漁船 修理後でも国支援
水産庁が紙議員に回答
東日本大震災の大津波で被災した漁船を保険金で修理した後でも、新たな故障が判明し全損扱いとなれば国の共同利用漁船支援事業が適用され、自己負担を大幅に軽減できることがわかりました。19日、水産庁が日本共産党の紙智子参院議員へ回答しました。紙氏が岩手県山田町の漁師、橋端辰徳さん(63)の訴えをもとに対応を求めていたものです。
橋端さんらは港の岸壁に長期間打ち上げられた漁船を保険金で修理し、漁解禁日の3月8日に沖に出ましたが、操舵に異常が発生し、再度点検すると操舵機関などの故障が判明しました。
すでに保険金額1390万円のうち1200万円かかり、橋端さんは国の支援事業を受けようと漁船保険組合に全損扱いを要望。組合側は全損扱いにすると回答しましたが、県側は支援事業が適用できるかわからないなどと述べていました。
紙氏に対し、水産庁担当者は「原則は全損。経済的全損(保険金を上回る)という形になれば事業の対象となる」と表明。「共同利用漁船支援事業は弾力的な対応(個々に判断)が可能なので、現場でうまくいかないなら相談してほしい」と述べました。
紙氏は3月28日の農林水産委員会で、約5300の被災船が漁船保険で整備しているとの状況を示し、「修繕しても使えないと判明した場合、再び新しく(船を購入)となると大変な負担だ」と指摘。「支援事業の活用など何らかの手立てを」と鹿野道彦農水相に要望していました。
橋端さんは「支援事業を受けられることに喜んでいます。漁船漁業をあきらめかけたけど、なんとか前に進んでいけます」と語りました。