2012年4月20日(金)
「君が代」強制訴訟
減給・停職取り消し
東京地裁判決 “著しく妥当欠く”
東京都八王子市の夜間中学校で勤務していた元教員の男性(63)が、卒業式の「君が代」斉唱時に起立しなかったことに対する4回の懲戒処分を取り消すよう都教育委員会に求めていた訴訟の判決が19日、東京地裁でありました。古久保正人裁判長は減給・停職処分の取り消しを命じる判決を言い渡しました。
この男性は夜間中学の教員として在職中、卒業式の「君が代」斉唱時に起立せず、戒告、減給1月、同6月、停職1月の懲戒処分を受けました。
訴訟では、教育に強制がなじまないうえ、夜間中学校では第2次世界大戦で日本が侵略した国の出身者も多く、「日の丸・君が代」への起立・斉唱を義務付けた都教委・市教委の通達、職務命令と処分が教職員・生徒の思想・信条の自由を侵害すると主張してきました。
判決は、今年1月の最高裁判決が減給以上の重い処分を科すことには「慎重な考慮が必要」としたことをふまえ、不起立による戒告処分歴のみを理由とした減給処分は「処分の選択が重きに失するものとして社会観念上著しく妥当を欠く」と指摘。減給・停職処分の取り消しを命じました。
一方、都教委・市教委の通達と校長の職務命令、戒告処分は適法としました。
原告弁護団は同日、判決が「懲戒権行使に歯止めをかけた点は評価できる」としつつ、都教委・市教委の職務命令を適法としたことは「都教委による教育現場への不当な介入と、これによる生徒らへの影響の実態を追認する内容」だとして抗議する声明を発表。戒告処分の取り消しを求め控訴する方向で検討することを明らかにしました。