2012年4月20日(金)
NTT 50歳定年廃止
労組「たたかいの成果」
働く意欲奪う 技術継承が困難
NTT東日本、西日本などNTTグループ各社は、50歳になると退職させ、30%も賃下げして子会社で再雇用する制度を来年度から廃止することを労働組合に示しました。労働者に一方的に不利益を強要したこの制度は「11万人リストラ」と呼ばれて2002年に導入されたもので、制度の廃止を求めてきた全労連と通信産業労働組合は「たたかいの成果」と評価しています。
11万人リストラ 2002年導入
制度廃止はグループ各社が5日、通信労組に示しました。「退職・再雇用」廃止と併せて、60歳定年後の継続雇用制度を新設するとしています。
50歳退職・賃下げ再雇用制度は「利益の最大化」を狙って、賃金を最高で30%削減する乱暴な計画のもとに、NTT東日本、同西日本など4社の社員11万人を対象に導入。この制度に応じなかった社員は報復・見せしめとして異職種・遠隔地に配転されました。
通信労組は「働く意欲を奪う」「技術継承ができない」と主張し、制度廃止を要求。遠隔地配転された組合員が各地で提訴し、業務上の必要性のない配転は違法との判決を勝ち取ってきました。
この制度について、NTT側はこれまで通信労組との団体交渉で「やめるつもりはない」と表明していました。しかし、65歳定年への社会の流れのなかで、職場から現行制度への不満と「65歳まで安心して働ける制度を」という声が高まって維持できなくなり、廃止に追い込まれたとみられています。
一方、新設される継続雇用制度について、通信労組は、60歳定年から65歳までの5年間の賃金原資を新たに増やすことをせず、中堅層の賃下げでまかなう仕組みとなっていることを「生涯賃金の総額は現状と変わらない」と批判しています。
通信労組の宇佐美俊一委員長は「『50歳退職・賃下げ再雇用』制度の廃止は、多くの支援者とともに10年間にわたるたたかいの成果です。しかし、定年延長ではなく、継続雇用と引き換えの新たな生活破壊攻撃は断じて許せない暴挙です。全国の労働者とともに撤回を求めて新たなたたかいを展開する決意です」と話しています。