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2012年4月19日(木)

学校での柔道事故

指導者の不理解や体罰が悲劇生む

衆院文科委 宮本議員 国の姿勢ただす

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 日本共産党の宮本岳志議員は18日の衆院文部科学委員会で、学校での柔道事故問題をとりあげました。今年4月から中学1、2年の体育授業で柔道をはじめとする武道が必修化されたことから、子どもへの安全対策の徹底や指導者研修の必要性など、国の姿勢を改めてただしました。


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(写真)衆院文部科学委員会で質問する宮本岳志議員

117人が命落とす

 日本スポーツ振興センターの災害共済給付件数をもとに、名古屋大学の内田良准教授(教育社会学)が分析したところ、1983年度から2011年度までの29年間で117人の子どもが柔道事故で命を落としています。また障害を負った子どもは、83年度から09年度までで275人にのぼっています。

 宮本議員は「授業はもちろん、部活動であっても、生徒が死亡したり、重大な障害を負うような事故は一件たりともあってはならない」として、文科省はこうした深刻な実態をつかんでいるのか、と問いました。平野文科相は89年の閣議決定で「生徒の体育活動中の事故に関する報告を廃止する」ことが決まったとして、現状では国への報告義務さえないことを明らかにしました。

 宮本議員は重大事故の状況や原因を正確につかまなければ対策もたてられない、きちんと実態を把握すべきだと迫りました。これにたいして平野文科相は「事故の状況や原因を把握し、分析することは重要。事故防止に関する調査研究協力者会議で検討している。また、学校と教育委員会が指導計画を再検討しており、5月に報告をもらう。そして、その情報交換会を6月に開き、情報収集や検証態勢の改善をふくめて万全を期したい」と答えました。

不十分さ認める

 さらに宮本議員は内田准教授のデータを示しながら「柔道は発生確率が高いまま、30年間も重大事故が起き続けている。それは、正確な情報を集め、徹底的に原因を究明し、教訓を明らかにして、ただちに再発防止策を講じることを怠ってきたからだ」と指摘しました。

 平野文科相は、これまでの対応の不十分さを認め、スポーツ基本法の成立や武道必修化をうけて「いままでのことを十分に検証しながら、安全対策最優先で対処していきたい」としました。

 また宮本議員は「重大事故を根絶するために、国として過去の事故の原因究明や分析、医科学的な立場にたった安全対策の検討・公表などを行う第三者的な機関を立ち上げるべきだ」と求めました。平野文科相も「事故を科学的に分析し、原因究明や防止につなげていくことは極めて重要だと思う。今後、医学的な立場にたった対策もふくめて検討していきたい」とのべました。

 全国柔道事故被害者の会によると、事故の背景には練習や指導に名を借りた体罰やしごきの問題がありました。宮本議員は、こうした指導のあり方を次のように取り上げました。

 宮本 こうした指導者に共通するのは、行ったことの重大性ばかりか、事実に向き合おうともしない姿勢だ。指導者による、いじめ、しごき、体罰は絶対に許されない。これは虐待や暴力そのものであって、スポーツでも武道でもない。少なくとも学校での指導者には暴力や人格を否定する言動は絶対に認めないという立場を明確にするのは当然のことだ。

 平野文科相 道をきわめるということは、人格をきわめることだと思う。指導者による体罰やしごきは絶対にあってはならないと私も思う。

 宮本議員は、指導者が国家資格を取らなければならないフランスの例を示し、すべての柔道指導者に頭部損傷の危険性を認知させる講習会や事故時の救急対応を学ぶ必要性を説きました。

特別な対策必要

 また、男女問わず必修化されたことに関連し、体育の授業で女子に頭部負傷の割合が高いデータを示して、性差に配慮した安全対策が必要だとただしました。平野文科相も「体力差や性差を十分に考慮する必要がある。文科省が配布した手引書にも女子にたいして無理のない指導を紹介している」と答えました。

 最後に宮本議員は「部活動でも授業でも、指導者の無知や不理解から人道上の悲劇を絶対に生むことがないように、あらゆる手だてをとりきる」ことを強く求めました。

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