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2012年4月19日(木)

韓国総選挙与党勝利

過去と決別 雇用や福祉強調

得票は野党が多数

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 11日投開票の韓国総選挙では、李明博(イ・ミョンバク)政権と距離を置き、「過去との断絶」を訴えた与党セヌリ党(旧ハンナラ党)が、過半数を得る結果となりました。8カ月後に大統領選が迫る中で、次期大統領の最有力候補の朴槿恵(パク・クンヘ)氏を前面に押し出し、「李大統領の党」というイメージを刷新したことが、与党の勝利につながりました。(ソウル=中村圭吾 写真も)


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(写真)投票日前の最後の週末、投票への参加を呼びかけるコンサートに集った市民=7日、ソウル

 「国民の暮らしを無視し、顧みない政治」「間違った過去とは完全に断絶し、未来に進む韓国をつくる」。セヌリ党が選挙期間中に流したCMの一節です。

 李大統領の任期末に行われた今回の選挙では、4年間の国政運営の評価が問われるのは避けられない状況でした。最大野党の民主統合党(民主党)などが「政権審判」を中心課題に掲げたのに対し、セヌリ党は「国民の暮らし」を強調。大統領側近の不正疑惑、党代表選をめぐる買収疑惑などで国民の批判を浴びた「過去との決別」を宣言し、雇用や福祉など国民生活に密接した分野で「新しい変化を国民とともにつくる」と訴えました。

差別化図る

 一時は、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の弾劾をめぐり逆風が吹いた2004年の総選挙での獲得議席(121議席)に及ばないとの予測も出される危機的状況の中で、セヌリ党は、朴氏を中心に現政権との差別化を図ることで活路を見いだそうとしました。

 昨年12月、旧ハンナラ党が「分裂・解体」の危機に直面したもとで、朴氏が非常対策委員長に就任し、全権を掌握して以降、与党は14年間、使用してきたハンナラ党という党名を捨て、党のイメージカラーも左翼を連想させ、保守派が忌み嫌ってきた赤色に変更。政策面では、党の綱領にあたる定款から「保守」の文言を削ることまで検討するなど、なりふり構わぬ路線転換を進めました。

 朴氏を前面に立てた戦略は保守票を結集させることに成功。京郷新聞は「総選挙で敗北すれば、大統領選も終わりだという危機感が保守層を刺激し、強力な大統領選挙の候補者である朴槿恵選対委員長を中心に、固く結集した」と指摘しました。

 3放送局の合同出口調査によると、保守傾向が強い60代以上では69・7%(前回比4・2ポイント増)、同じく保守支持者が多い50代では64・6%(4・3ポイント増)が投票。野党支持の傾向が強い20代(投票率47・9%)、30代(41・8%)を大きく上回ったことが、接戦となった選挙区で勝利し、単独過半数の獲得につながったとみられます。

 しかし、得票合計では、小選挙区、比例代表ともに、セヌリ党の得票は、民主党と左派政党・統合進歩党の「野党連帯」への得票を下回るという結果も出ました。特に比例代表では、セヌリ党への投票は912万票(42・8%)にとどまり、2野党の合計票と比べ、84万票の差がつきました。

今後の課題

 進歩党の李正姫(イ・ジョンヒ)共同代表は「変化の熱望と野党連帯に対する支持が確認された」と強調しましたが、大統領選挙だったとしたら、野党勝利の結果となった可能性もあります。与党は、若者や無党派層が多いソウル市内では、48選挙区中16選挙区でしか勝利できず、首都圏全体でも敗北。変化を求める首都圏の世論をどこまで受け止められるかが、今後の課題となります。

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