2012年4月14日(土)
再稼働反対・原発廃止に
日本科学者会議 政府に申し入れ
日本科学者会議は13日、経済産業省、内閣府に大飯原発3、4号機の再稼働に反対するとともに、すべての原発の廃止を求め、申し入れました。10日に発表した声明に基づいて行われ、申し入れ後、経産省内で同会議事務局長の米田貢・中央大学教授らが記者会見しました。
米田事務局長は、「チェルノブイリの事故がおきたにもかかわらず、日本では安全神話が流され、その結果が福島の事故となった。科学者の立場から再稼働反対の意思表明をし、政府は原発をなくす決断をすべきだと伝えた」と申し入れの趣旨を説明しました。
舘野淳・元中央大学教授は「判断基準のもとになっている30項目の対策は原発推進派の科学者たちによって作られたものだし、ストレステストは本当の意味でのテストになっていない。原発に批判的な科学者の意見も取り入れて、国民合意を得なければ、これまで自民党が進めてきた路線と同じになってしまう」と指摘しました。
山本富士夫・福井大学名誉教授は、「福井県は原子力安全専門委員会を設置して地元の原発の安全について議論をしているが、事故が起きれば琵琶湖の水の汚染が大きな問題となる。それについての議論はない」と述べました。
野口邦和・日本大学准教授は「福島の事故の検証委員会はまだ中間報告しか出していないのに、現存する原発の再稼働の話をするのは無責任だ。政治判断が優先している」と批判しました。
声明要旨
声明の内容は次の通りです。(要旨)
政府は科学的検証なしに、「政治的判断」による原発の再稼働をもくろんでいる。これは再び国民を放射能の危険にさらす道であり、決して許されない。次の理由から政治的判断による再稼働に反対する。
1、原発の危険から国民の安全を守るための、責任ある総合的な体制ができていない
2、軽水炉の本質的欠陥はどこにあるか、福島事故に基づく十分な解析が行われていない
3、原子炉運転によって発生する使用済み燃料および高レベル放射性廃棄物の処分のめどがたっていない
4、事故発生に際して被害が生じる近隣自治体の同意が得られていない
5、ストレステストそのものはコンピューター計算による机上の防災訓練であり、また1次評価では安全限界(クリフエッジ)を超えた事故シナリオの追求も行われておらず、本当の意味で耐性限界を超えたテストとはいえない
6、原発の安全性にかかわる新たな判断基準は、原発の再稼働ありきの立場からの政治的判断である