2012年4月13日(金)
水俣病認めぬ不当判決
大阪高裁 原告女性が逆転敗訴
水俣病関西訴訟の最高裁判決で水俣病と認められたのに、国や熊本県が患者と認定しないのは不当だとして、大阪府豊中市の女性(86)が認定を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁(坂本倫城裁判長)は12日午後、認定を命じた一審大阪地裁判決を取り消し、女性の請求を退けました。
別の訴訟で福岡高裁は2月、高裁レベルで初めて国の基準を否定して認定を命じており、高裁段階で判断が分かれました。
国が1977年に策定した認定基準は「感覚障害を含む複数症状の組み合わせが必要」としています。
女性は手足の感覚障害だけでしたが、一審大阪地裁は2010年7月、国の基準について「医学的正当性を裏付ける証拠がない」と指摘。発症の時期や特徴を総合的に判断すべきだとした上で、女性がメチル水銀に汚染された魚介類を大量に食べていたことなどから水俣病と認め、県に患者として認定するよう命じました。
女性は熊本県水俣市で生まれ、兵庫県に転居した後の78年、水俣病の認定を申請したが棄却され、未認定患者が起こした関西訴訟に参加しました。
最高裁は04年、国より緩やかな判断基準を採用した二審大阪高裁判決を是認し、女性ら37人を水俣病と認めました。