2012年4月13日(金)
消費税大増税ストップ! 4・12国民集会
志位委員長あいさつ
日本共産党の志位和夫委員長は12日、東京・日比谷野外音楽堂で開かれた「消費税大増税ストップ! 4・12国民集会」であいさつしました。その内容を紹介します。
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お集まりのみなさん、こんにちは(「こんにちは」の声)。私は、日本共産党を代表して熱い連帯のあいさつを送ります。(拍手)
野田政権は、消費税大増税法案を国会に提出し、「命がけ」で成立させるといっています。しかし、どんな世論調査でも、50数%から60%の国民が、「反対」と答えているではありませんか(「そうだ」の声)。それは、首相がどんな理屈を言おうと、「命がけ」と力もうと、増税が強行されたら「暮らしが立ち行かない」「営業が続けられない」という現実があるからではないでしょうか。(「その通り」の声、拍手)
暮らしと経済をドン底に突き落とす
国会論戦を通じて、今回の消費税大増税計画の三つの害悪が浮かび上がってきました。
第1の害悪は、暮らしと経済をドン底に突き落とすということであります。
1997年に橋本内閣によって強行された消費税5%への増税をはじめとする9兆円の負担増は、所得と消費が伸びるもとでも、それを上回る負担増によって、家計の底が抜け、大不況の引き金を引きました。
今回の大増税は、ただでさえ長期にわたって所得も消費も落ち込みが続いているもとで、消費税10%と社会保障の切り捨てなどで20兆円を超える負担増をかぶせようというものです。これが日本経済の6割を占める家計消費をますます冷え込ませ、景気をドン底に突き落とすことになることは、火を見るよりも明らかではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)
中小企業団体の調査では、消費税が引き上げられた場合、販売価格に転嫁できるかという問いに対して、5割から7割が「転嫁できない」と答えています。現在の5%でも、多くの中小企業は転嫁できず、保険を解約し、定期預金を下ろし、家族は無給で働き、ささやかな不動産を切り売りし、最後は泣く泣く人件費を削り、ようやく消費税を納めています。増税が強行されたら、この日本から商店街がなくなり、町工場がなくなり、中小企業の倒産・廃業が激増する――こういう訴えをたくさん聞きました。日本の雇用の7割を支えている中小企業の営業を破壊する、こういう暴挙は断じて許すわけにはいきません。(「そうだ」の声、拍手)
財政危機をさらに深刻にする
第2の害悪は、財政危機をさらに深刻にするという問題です。政府は、消費税を増税すれば、「社会保障の安定財源確保と財政健全化を同時に達成する」――財政がよくなるかのようなことを言っていますが、真実はどうでしょうか。
消費税を5%に増税した前の年の1996年度と、直近の2010年度の税収を比較しますと、たしかに消費税の税収は増えていますが、他の税収が大きく落ち込み、税収の総額は90兆円から76兆円に14兆円も落ち込みました。14年間の累計で計算しますと84兆円も税収が減りました。その分、財政危機が深刻になったのであります。
その最大の原因は、消費税増税をきっかけに、景気が悪化し、日本経済が長期の低迷と後退に陥ったことにあります。さらに、富裕層と大企業への減税のバラマキが行われました。両方があいまって、税収の深刻な空洞化を招いたのであります。
消費税を増税しても、経済が悪くなれば、全体の税収は減ります。消費税増税は「社会保障の安定財源」などにはなりません(拍手)。それは、財政危機を深刻にするだけだということは、歴史が証明しているではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)
社会保障改悪との「一体改悪」
第3の害悪は、「社会保障と税の一体改革」と、あたかも社会保障が良くなるかのような宣伝をしていますが、これがまったくのウソだということであります。
消費税は「社会保障のため」だという言い訳は、今にはじまったことではありません。1989年にこの税金を導入したさいにも、97年に増税したさいにも、最大の言い訳は「社会保障のため」でありました。それでは消費税導入から23年間、「ああ、消費税のおかげで良くなったな」といえる社会保障が一つでもあるでしょうか(「ない」の声)。どの分野でも改悪の連続だったではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)
今回の「一体改革」のメニューを見ても、年金給付の減額、子ども手当減額、医療費の窓口負担増、介護利用料の負担増、市町村の保育への義務を投げ捨てる「子ども・子育て新システム」など、ずらりと改悪が目白押しになっております。「一体改革」といいますけれども、消費税増税と社会保障改悪の「一体改悪」というのがその正体ではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)
ムダ一掃と「応能負担」の原則に立った税制改革を
消費税大増税の道は、暮らしも、財政も、経済も壊す、先のない道です。消費税に頼らない別の道を真剣に探求する必要があります。私たち日本共産党は、そのための「提言」を示していますが、二つの柱があります。
一つは、無駄遣いを一掃するとともに、「応能負担」の原則――負担能力に応じた負担の原則に立った税制改革を行うということです。まず富裕層と大企業に応分の負担を求め、社会保障と暮らしにあてようではありませんか(「その通り」の声、拍手)。次の段階に、社会保障の抜本的充実に進むためには、国民全体で支える必要がありますが、その場合も消費税ではなくて、所得税の累進課税の強化で財源をつくればいい。将来にわたって「応能負担」という税金の民主主義にたった改革を、この声をあげていこうではありませんか。(「よし」の声、拍手)
国民の所得を増やす経済改革を
二つ目は、国民の所得を増やす経済改革を実行するということです。
労働者派遣法を本当に抜本改正して「雇用は正社員が当たり前の社会」をつくっていこうではありませんか。(「そうだ」の声、拍手)
最低賃金を大幅に引き上げて、この日本から「働く貧困層」をなくしていこうではありませんか。(拍手)
中小企業と大企業の公正な取引ルールをつくらせていきましょう。(拍手)
そして、TPP(環太平洋連携協定)参加はやめて、農林水産業の本格的な振興をはかれ、この声をあげていこうではありませんか。(拍手)
こういう改革によって、大企業にたまっている260兆円もの内部留保が社会に還流するようになります。日本経済が内需主導で健全な成長の軌道に乗るようになる。そうすれば、税金の自然増収も入ってきます。
国民の声で増税勢力を包囲し、増税法案を廃案に
消費税に頼らなくても、社会保障を充実し、財政危機を打開する別の道がある。ここに確信をもって、消費税大増税反対の声を広げに広げ、増税勢力を包囲し、増税法案を廃案に追い込もうではありませんか(「そうだ」の声、拍手)。私たちも最後までみなさんとともにたたかう決意を申しあげて、ごあいさつといたします。ともに頑張りましょう。(大きな拍手)