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2012年4月13日(金)

きょうの潮流

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 7万本の松が津波で消えた、岩手県陸前高田市の高田松原。残る一本松、転がる流木や水に没した根元が、わずかな形見です▼松原にあった石川啄木の歌碑の再建へ、市民や啄木ファンが動き出しました。1957年にたった碑は、3年後のチリ地震津波でも失われています。2度の受難をのりこえ、啄木作品の不滅の生命力をたたえる再再建です▼「いのちなき砂のかなしさよ/さらさらと/握れば指のあひだより落つ」。碑に刻まれていた歌です。啄木の歌の多くから、文字というより身体で書かれたような、生きた魅力を感じます。ここでは、砂を握った時の皮膚感覚が、読み手にもよみがえります▼肺が侵されたようすを詠む「呼吸(いき)すれば、/胸の中(うち)にて鳴る音あり。/凩(こがらし)よりもさびしきその音!」。日本が韓国を植民地にした時の「地図の上朝鮮国にくろぐろと墨をぬりつつ秋風を聴く」。やはり、息遣いや筆もつ感触を通じ、切なさや隣国の人々に寄せる心情が切実に伝わります▼そんな歌をつくった啄木自身、幸徳秋水ら大逆事件の被告の死刑にどれほど深い痛みを覚えたでしょう。判決へのなりゆきを、息をつめるようにして見守っていた啄木です。事件を機に、心ある人が沈黙させられる、社会主義の「冬の時代」がきていました▼対して、「我々は一斉に起(た)ってまずこの時代閉塞(へいそく)の現状に宣戦しなければならぬ」と革命の志を燃やす啄木。彼の明日へのまなざしも、痛切に今に伝わります。啄木が亡くなり、今日で100年です。


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