2012年4月5日(木)
JAXA法改悪反対
ネット署名広がる
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「はやぶさが日本を勇気づけたのは平和利用が根底にあるから」(教員)、「最先端技術を戦争目的に用いるのは絶対反対」(市民)、「子どもの夢を汚さないで」(母親)、「科学は平和の中でこそ栄えます」(研究者)―。日本人初の宇宙飛行士でジャーナリストの秋山豊寛・京都造形芸術大学教授らが呼びかけた、宇宙航空研究開発機構(JAXA)法改悪反対のインターネット署名が広がっています。3日までに約900人が署名・賛同メッセージを寄せています。
JAXAは日本の宇宙開発を担う独立行政法人。その業務を「平和の目的に限り」と定めたJAXA法からこの規定をなくし、研究者・技術者を軍事利用に動員するための改定案を、政府が今国会に提出。近く衆議院で審議が始まるとみられます。ネット署名の事務局は、3月25日までの2次集計分を国会議員に届けました。
メッセージの多くは宇宙の夢やロマン、平和憲法の精神を守りたいという思い、科学・技術の軍事利用の弊害を指摘する声など。JAXA宇宙科学研究所の元研究員も「軍事研究を強いられたり研究内容の公開ができなくなり、自由とはほど遠い機関になるのではないかと危ぐする」と、茨城県の宇宙開発関係者は「同僚間のコミュニケーションもなくなり、弊害がみられる」と声を寄せています。
事務局は「署名を広げて廃案に追い込むため、さらに情報発信したい」としています。
署名ウェブサイトは、 http://jaxaforpeace.a.la9.jp/です。
軍事技術につながる/ 戦前に向かっているよう/自由に研究されてこそ…
■息子が宇宙大好き。私は「宇宙開発は軍事技術につながる」と思いながらも、純粋な好奇心・探究心を応援していた。子どもの夢を汚さないでほしい(神奈川県在住)■憲法9条を既成事実の積み上げでなし崩しに骨抜きにすることに反対(愛知県在住)■世の中が「戦前」に向かっているようで気がかり(新潟県在住)■学問・研究の自由や研究者の権利が抑圧されると同時に、軍事産業の利権のために国民生活を犠牲にして膨大な税金が投入されることは目にみえている(科学者)■ロケット基地のある種子島の住民として、平和目的に徹したJAXAを願う(鹿児島県在住)■戦争のとき気象情報は軍事機密で一般に公開されず、台風などの自然災害で多くの人が戦時下に亡くなった(気象台職員)■平和利用で機密なしに自由に研究されてこそ世界にも貢献できる(神戸市在住)■原発震災で科学の公開性・民主性が問われたが、軍事利用は科学の非公開に道を開き自主性にブレーキをかける(大学教員)■純粋な知的好奇心による研究で快挙を成し遂げた技術を悪用することは、先人にたいする冒とく(大学教員)■我々の技術の軍事利用に反対だが、いままでも軍用・民間用の区別はぎりぎり(JAXA研究者)■研究が人殺しに使われることに我慢がならない(研究者)■映画「はやぶさ」の人間ドラマに感動した。その技術が軍事衛星に利用されることを想起すると、感動が一気に吹き飛ぶ(社会保障専門家)