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2012年4月5日(木)

主張

JAXA法改定

宇宙軍拡進める悪法を廃案に

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 独立法人宇宙航空研究開発機構法(JAXA(ジャクサ)法)から、宇宙開発を「平和の目的」に限定している規定を削除するための改定法案が近く審議入りする見込みです。

 JAXA法から「平和の目的に限り」との規定が削除されれば、世界的にも高い評価を受けているJAXAの宇宙技術や運用能力が政府の進める宇宙の軍事利用拡大策に組み込まれることになります。平和を願う多くの研究者・技術者らが反対の声をあげています。憲法の平和原則をふみにじって宇宙の軍事利用を拡大することは絶対に許されません。

米国と日本企業のため

 JAXA法改定案は、2008年に自民、公明、民主3党が強行した宇宙基本法にあわせて、現行の「平和の目的に限り」を削除しようというものです。

 「平和の目的に限り」という規定は宇宙の軍事利用を禁止するために定められたものです。1969年に宇宙開発事業団法が制定されたさい、「憲法の趣旨にのっとり、非核・非軍事を趣旨として」盛り込まれ、JAXA法に引き継がれました。

 戦争を放棄した日本が宇宙の軍事利用を拡大するのは、憲法の平和原則をふみにじる暴挙にほかなりません。憲法の平和原則を具体化した規定は守られるのが当たり前です。自公政権でさえ改定に手がつけられなかったのはこのためです。野田佳彦政権が「平和の目的」規定の削除を強行するのは、憲法の平和原則を守る姿勢がないことをうきぼりにするものです。

 政府の狙いはJAXAのロケットを使って多種多様な軍事衛星を打ち上げ、衛星を追跡するなどのJAXAの高い技術を宇宙軍拡政策に動員することです。文字通りJAXAを宇宙軍拡に組み込もうとしているのです。

 政府が宇宙軍拡を進めるのは、日米軍事同盟の飛躍的強化を求めるアメリカの要求に応えるためです。日本が軍事衛星から得た情報をアメリカに提供するなど、アメリカとともに海外で戦争する態勢づくりが一段と加速します。日本と世界の平和を脅かす企てを許すわけにはいきません。

 JAXA法の改悪は財界・兵器産業界の要求そのものでもあります。経団連は宇宙の軍事利用に道を開いた宇宙基本法にあわせてJAXA法を改定するようくりかえし要求してきました。

 何種類もの軍事衛星を数多く打ち上げるには巨額の費用が必要です。いま空を回っている情報収集衛星は開発・打ち上げなどで8000億円がかかりました。宇宙軍拡で大もうけを図るのが狙いです。財界・兵器産業界の身勝手な要求に応えるいわれはありません。

公開の原則が危うい

 JAXAが宇宙軍拡に組み込まれることで、宇宙開発の「自主・民主・公開」の原則が危うくなることも重大です。自衛隊法は軍事秘密を漏らした者に懲役5年以下の刑罰を科しています。野田政権は懲役を10年以下とする秘密保全法づくりも企てています。軍事衛星の情報は秘密のため、衛星について自由に成果を発表し共有し合う研究者らの自由さえ奪われることになる懸念があります。

 科学を戦争に動員した過去の誤りを繰り返すことは許されません。JAXA法改定案を廃案に追い込むことが重要です。


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