2012年4月3日(火)
論戦ハイライト
原発再稼働問題
参院予算委 井上氏追及
安全なしの「政治判断」か
2日の参院予算委員会で原発の再稼働問題を取り上げた日本共産党の井上哲士議員。安全性の確認も災害対策もとられていないことが浮き彫りとなり、再稼働に根拠がないことが鮮明になりました。
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井上氏は、原子力安全委員会が大飯原発(福井県)のストレステスト(耐性試験)1次評価を「妥当」と了承したことについて、安全性を確認し、再稼働を妥当と判断したのかと質問。班目(まだらめ)春樹委員長は「2次評価までしていただきたい」と答えました。
井上 安全委員会は1次評価では不十分と言っている。にもかかわらず、「政治判断」するというのは、安全性の確認ができていなくても再稼働するということか。
枝野幸男経産相 安全性については政治判断できない。国民の一定の理解を得られるかどうか精査している。
野田佳彦首相 国民にさまざまな意見があることは承知している。地元の理解が進んでいるかどうかも含めて最終的な判断をしていく。
井上氏は、世論調査(「毎日」2日付)で84%が大飯原発の安全審査を不十分と回答していることをあげ、「圧倒的多数の声だ」と指摘。福島原発事故の原因究明も大飯原発の安全確認もできない中で再稼働はありえないと強調しました。
防災対策の対象となる大飯原発から50キロ圏には滋賀県や京都府が入り、45万人が住んでいます。
井上氏が、両県も地元合意の対象とするのかと迫ると、枝野氏は「地元を含めた国民の一定の理解が必要」としか答えません。
井上氏は、大飯原発に隣接する高浜原発から5万テラベクレルの放射性ヨウ素が排出された場合の予測汚染範囲として、京都府が文科省に要請してSPEEDIで作成した予測地図をパネルで示しました。
井上 1月の西風では屋内退避地域は福井県を越えて滋賀県高島市に入る。琵琶湖にまで達する。国は自治体の要請待ちではなく、すべての原発の予測資料を公表すべきだ。
平野博文文科相 国が前提条件をつくって予測計算を出すのは適切ではない。
井上氏は、3月になると北風で、屋内退避の地域に京都市右京区、亀岡市、綾部市、南丹市や、京都府南部まで入ると指摘。大飯原発で事故が起これば同様の被害が出ると迫りました。
井上 滋賀県や京都府など被害が予測される自治体や住民のみなさんが“同意抜きの再稼働はありえない”というのは当然だ。
経産相 自治体、住民の一定の理解が得られることが(再稼働の)条件だ。
井上 「一定の理解」ではなく「同意が必要」といえないのか。
経産相 一定の理解が得られているかを判断する必要がある。
井上氏は、「毎日」の世論調査で大飯原発再稼働への反対が62%に達し、京都府議会、福井県越前市議会、滋賀県議会も再稼働反対の意見書を可決したことを示し、「国民の声、地元の声を尊重するなら、再稼働などありえない」と強調しました。
野田首相は「何でもかんでも再稼働ではない」と述べながらも、あくまで「地元の理解」を含めて判断すると述べました。
井上氏が、いまやるべきは世論無視の再稼働ではなく、「事故の徹底究明と原発からの撤退の決断、原発に頼らないエネルギー政策を示すことだ」と訴えると、与野党議員から賛同の拍手が上がりました。