2012年4月1日(日)
南海トラフ地震推計
浜岡原発 防波壁超え21メートル津波
M9.0検討もなく再稼働狙う
内閣府の有識者検討会は31日、南海トラフでM9・0の地震が発生した場合に東海から四国・九州の太平洋沿岸が巨大な津波に襲われるとみられるとの推計結果を公表しました。この沿岸には中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)と四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)があります。
浜岡原発は、東日本大震災によって東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)で起きた史上最悪の原発事故を目の当たりにした国民の廃炉要求が高まる中、3〜5号機の全3基が昨年5月に運転を停止しました。しかし、中部電力は停止を発表した5月9日の水野明久社長の会見で、津波対策を終えれば「速やかに全基の運転再開」をすることを表明。現在、海面からの高さ18メートル、延長1・6キロの防波壁を含む工事を行っています。
有識者検討会の推計では、浜岡原発付近で最大21・0メートルの津波が発生するとしており、現在進められている対策でも防げないことになります。
伊方原発は1〜3号機の全3基が定期検査で停止中です。四国電力は3号機についてストレステスト(耐性試験)1次評価で地震による最大の揺れが想定の570ガルの1・86倍の1060ガルまで耐えられるなどとする結果を経済産業省原子力安全・保安院に提出。保安院は審査の結果、四国電力の評価よりも2割低い855ガルまでしか耐えられないとしたにもかかわらず、19日に「妥当」とし、再稼働ありきの姿勢を示しています。
内閣府の有識者検討会が南海トラフでM9・0の地震が発生する可能性があるとしたのは、四国電力が伊方原発3号機のストレステスト1次評価結果を提出した後でした。保安院の審査でも、M9・0の地震に対する検討は行われませんでした。