2012年3月31日(土)
主張
消費税増税法案決定
「大洪水よ、わが亡き後に」
国民の不安と反対の声がますます高まる中で民主党政権が消費税増税法案を閣議決定しました。
2014、15年の2段階で消費税率を10%に引き上げ、13・5兆円の負担増を国民に迫る増税法案は、国民の暮らしも経済も破壊する、まさに恐慌の時限爆弾です。
政府が「一体改革」として消費税増税の大義名分にする「社会保障の充実」とは名ばかりで、切り捨て策が目白押しの「一体改悪」にほかなりません。高齢者にも子育て世代にも大きな打撃が続きます。これでは暮らしも内需も改善の見通しさえ出てきません。
経済打開の戦略もなく
政府は景気動向によっては増税停止を含む措置を取るとした「景気条項」に、増税の条件として「経済状況の好転」を盛り込みました。加えて“努力目標”として「名目3%、実質2%」の成長率を書き込んでいます。
しかし安住淳財務相は、仮に増税前に「今の時点」のような経済状況なら増税できると明言しています。「回復」には程遠い状況でも政府が「好転」だと言えば増税できる、「名目3%、実質2%」は増税の条件ではなく努力目標だというなら「景気条項」など何の歯止めにもなりません。
「名目3%、実質2%」は野田佳彦内閣が「日本再生の基本戦略」に掲げた旗印です。この旗印を増税の条件として明記するよう求めた民主党内の声に党執行部と政府は頑として抵抗し、単なる努力目標にしました。みずからの旗印ですら増税の条件に据えることを拒否する民主党政権の姿勢は、本気で日本経済の回復を図り、「デフレ」から脱却させる構えさえないことを証明しています。
民主党政権の経済無策を象徴する話を民間のエコノミストが紹介しています。それによると、財務省の幹部がエコノミストやメディアを訪問し、次のように説いているといいます(楽天証券経済研究所客員研究員の山崎元氏、「ダイヤモンド・オンライン」)。「デフレ」と低成長は今後も続くから、いま消費税増税を決めないといっそう増税が難しくなる―。
民主党政権の「新成長戦略」は法人税減税など財界言いなりの大企業応援が中心で、自公政権の経済路線の焼き直しです。その土台は「大企業がもうければいずれ家計にもしたたり落ちて経済が良くなる」というトリクルダウン経済論です。しかし、この考えは大企業が過去最高益を更新する一方で賃金を下落させ、貧困を拡大した自公政権時代に完膚なきまでに破綻しました。そのゆきづまりを打開する戦略を民主党は持っていません。
世論と運動で廃案に
経済の低迷になすすべもない政権が「今しかない」と国民に空前の大増税を押し付けようとしています。景気を壊したら税収も減って財政も共倒れです。「大洪水よ、わが亡き後に来たれ」―。こんな消費税法案は世論と運動で廃案に追い込もうではありませんか。
経済の低迷を打開することなしには財政赤字や社会保障財源の問題も解決できません。日本共産党が提案しているように、無駄遣いを一掃し、大企業・大資産家優遇の税制を改めて社会保障の充実を図る政策と、雇用、中小企業など暮らしに軸足をおいた経済政策への転換を同時並行で進める道でこそ展望が開けます。