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2012年3月29日(木)

主張

保育「新システム」

撤回求め、たたかいをさらに

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 政府は公的保育制度を解体する「子ども・子育て新システム」関連法案を近く国会に提出しようとしています。

 「待機児童をなくす」「子育て支援の充実」などを口実にしてきましたが、「新システム」を後押ししてきたマスコミも「待機児童問題が解消するのかどうか、疑問」(「読売」14日付社説)などと指摘せざるをえない状況になっています。父母、保育関係者の声と反対の運動が「新システム」導入に道理がないことを明らかにし、変化をつくりだしてきたのです。

待機児童解消保障なく

 「保育所が見つからないので会社を辞めた」「保育園探しで体調を崩し働けなくなった」「保育所を増やさないのはおかしい」など、東京都足立区の「保育所つくってネットワーク」のアンケートには深刻な実態、怒りの声があふれます。

 父母、子育て世代の願いは、行政の責任で安心して預けられる保育所を増やしてほしいということです。しかし「新システム」は児童福祉法を変え市町村の保育実施責任をなくすものであり、この願いにこたえることはできません。

 保育所入所は施設との直接契約になり、施設整備も事業者まかせです。16日の参院予算委員会で日本共産党の田村智子議員が、「待機児童の人数をつかんで保育が行われるまで市町村が義務を負うのか」とただしたのに対し、小宮山洋子厚生労働相は待機児童解決に市町村が責任をもてなくなることを否定できませんでした。

 待機児童解消の切り札としてきた「幼保一体化」の総合こども園は3歳未満の入園は義務づけないことになったため、0〜2歳児が8割以上を占める待機児童は解消されません。結局、政府の頼みの綱は企業の参入による量的拡大と、ビルの一室などを利用した基準の緩いサービスの新設です。

 先取り的に参入した企業が倒産し保育所を突然閉鎖した例のように企業はもうけがなければ撤退します。しかも運営費からの株式配当も認めるために、営利追求による保育士の人件費削減と待遇悪化がつよく懸念されます。

 すでに政府が保育所最低基準を廃止・地方条例化したために、東京都や大阪市などで保育所面積基準の大幅引き下げの動きもすすんでいます。子どもの命と安全にとって重大な環境悪化をみちびくものです。

 財源も問題です。「新システム」の主な財源は10%まで引き上げられる消費税の増税です。すでに政府が決めた子ども手当削減、年少扶養控除廃止等に消費税増税が加わると、収入の約1カ月分が奪われることになります。

 政府は「新システム」を「税と社会保障の一体改革」の目玉としていますが、子育ての安心と希望を奪いながら大増税をおしつけるもので許すことはできません。

国の責任で保育所建設

 消費税増税なしに、今の保育制度のもとで、待機児童をなくすことはできます。ムダの一掃と大企業・富裕層に応分の負担を求めて財源を確保することで、緊急に30万人分の認可保育所建設をはじめ、子育て支援の充実も可能です。

 各地で大きくひろがる運動は「新システム」撤回、公的保育の抜本的拡充こそ国民の願いであることを示しています。さらに共同を広げ、たたかいの力で「新システム」撤回をかちとりましょう。


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