2012年3月27日(火)
きょうの潮流
もうすぐ、新学期。進学、進級で友だちや先生の顔ぶれも変わって、わくわく感とともに不安を抱く子どもたちも多いはずです。未知の学問への期待や戸惑いもあるでしょう▼新年度から中学校では武道必修化が始まります。改悪された教育基本法によって愛国心が強調されたことで文科省が進めてきました。武道の授業は柔道、剣道、相撲から一つを選び、1、2年生は必修で、3年は球技との選択です▼先日、滋賀県内の中学校長と柔道部の元講師が、書類送検されました。元講師は、殺意はなかったが結果として死なせた傷害致死、校長は、必要な注意を怠った業務上過失致死の容疑です。これは3年前、同校柔道部の顧問だった元講師が練習中に中1の男子部員に技をかけたところ、脳の損傷で亡くなった事件です▼いま、子どもはもちろん、保護者や現場の先生らは柔道の安全性に大きな疑問を感じています。死に至ったり、重い障害がのこる事故の発生率が他のスポーツに比べて高いというデータがあるからです▼たしかに一刻も早く安全対策をとって、学校現場に徹底し、安心して学べる場をつくらなければ不安は消えません。同時に、この問題の根っこには、指導や練習に名を借りた体罰、しごきがあるのです▼ふらふらの子どもを投げ続ける、締めて落とす。指導者や上級生による暴力も絶えない世界。絶対服従、上意下達、暴力体質と、まるで軍隊です。柔道にかぎらず、スポーツ現場にはびこる闇を一掃しなければなりません。