2012年3月26日(月)
三菱電機の指名停止
防衛省 「抜け穴」処分
中距離地対空誘導ミサイルや情報収集衛星など航空宇宙・軍事事業をめぐる経費の水増し請求(過大請求)で、三菱電機への防衛省による指名停止措置が事実上、「抜け穴」だらけだったことがわかりました。
代替事業者いない/任務遂行に支障
これは、日本共産党の吉井英勝衆院議員が提出した「三菱電機の過大請求と次期戦闘機調達に関する質問主意書」への答弁書(3月9日閣議決定)などでわかったもの。
防衛省提出資料によると、一般競争入札を行っても「入札者がいないとき、又は、再度の入札をしても落札者がないとき」や「予定価格の制限に達した者がいないことにより再度入札を行ったが、落札者がいなかったため」という理由で、結果的に三菱電機と随意契約をしたものが数多くあることを認めています。
吉井議員は、こういう結果になるのは、「実際には三菱電機しか当該業務を請け負うことができないことが最初からわかっているからではないか。表向きに『一般競争入札』を行っていると体裁を取り繕うためではないか」と質問しました。
これに対する答弁書では、2008年度から10年度までの3年間に防衛省と三菱電機との間で行われた契約、2007件(総額4965億1448万7509円)のうち、「一般競争入札の後、結果的に随意契約となったもの」は、334件(16・6%)、1667億6595万5181円(33・6%)だったことが明らかになりました。
防衛省との契約の3割以上が、一般競争入札を装う事実上の随意契約だったことになります。
同社の指名停止措置は、「事実関係の全容が解明され、過大請求(水増し請求)にかかわる過払い金等が国庫に納入されるとともに再発防止策が報告されるまでの間」となっています。
しかし、答弁書では、指名停止期間中であっても、「代替事業者や代替品の有無について精査した上で、三菱電機との間で契約を行わなければ自衛隊の任務の遂行に重大な支障が生じると認められる場合に限り契約を行う」としています。
3割以上が随意契約だったことが明らかになった三菱電機。その三菱電機しか製造できないものは「重大な支障が生じる」として随意契約によって発注を続けるというもので、「指名停止」は、同社にとっては抜け穴ということになります。