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2012年3月26日(月)

きょうの潮流

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 先週、ドイツ新大統領に就任したヨアヒム・ガウク氏は東独の人権活動家でした。ドイツ統一後は10年間、シュタージ文書の管理責任者を務めました▼シュタージとは東独の秘密警察、国家保安省のこと。国民の間に密告の網を張り巡らせました。政府批判はもちろん、誰が政治に不満を述べたか、事細かに報告させました。調査対象となった人は、旧体制崩壊後、自分に関する文書を閲覧できるようになりました▼しかし、新たな悲劇が生まれます。“密告者”の中に近親者や友人がいた例が多かったからです。強要や利益誘導で心ならずしたことであっても、その後の人間関係はずたずたです。離婚した人もいました▼記者の知人のドイツ人は文書に親友の名を見つけ、電話しました。「私は怒っていない。なぜあなたがそうしたのか知りたいだけだ」と。相手は動揺した様子で密告を否定し、電話を切りました。その後は絶交です▼シュタージは教師まで密告者に仕立て上げました。生徒を通じて両親の会話内容をつかみ、報告させたのです。職員を通じて市民の思想信条を調べる手法は橋下徹大阪市長の「思想調査」も同じです▼「シュタージ文書を封印すべきだった」という人がいました。人権侵害の被害者には加害について知る権利があります。歴史を検証するため情報公開は不可欠です。それがわかっていても、あまりにつらすぎたからです。相互監視の上に権力が君臨する。そんな体制ができたら、崩壊しても人をさいなみ続けます。


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