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2012年3月25日(日)

主張

派遣法改定

労働者裏切る二重の暴挙

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 まともな審議もなく衆議院を通過した労働者派遣法改定案が23日、参議院で審議入りしました。徹底審議が求められているにもかかわらず、民主、自民、公明、「みんな」の各党が一致し、27日の厚生労働委員会でわずか4時間の審議で採決しようとしています。

 人間らしく働きたいと願う労働者の期待を踏みにじる点でも、審議を尽くすという議会制民主主義の基本を無視する点でも、二重に許されない暴挙です。

改定の名に値しない法案

 今回の改定案は、内容でも、提出にいたる経過でも重大な問題があり、時間を十分にとって審議する必要があるものです。

 政府が、民主、社民、国民新党の3党合意を経て改定案を国会に提出したのが2年前です。「人間使い捨て」の働き方が問題になった登録型派遣、製造業務派遣を「原則禁止」するとしましたが、派遣元に常用雇用されているケースや専門26業務派遣は対象外にするなど、規制効果がないに等しい内容でした。「これでは原則容認だ」というきびしい批判があいつぎ、「抜け穴」をふさぐ抜本修正を求める運動が高まっていました。

 ところが政府・民主党は、こともあろうに昨年11月、派遣の規制に異をとなえて審議入りを拒否していた自民党、公明党と取引して、「原則禁止」条項そのものを法案から削除する「骨抜き修正」に合意しました。このため改定案は、「改定」の名に値しない無内容な中身になりました。

 法案が参院で審議入りした23日に全国労働組合総連合(全労連)などが国会内で開いた集会で、「派遣切り」にあった女性が「派遣法改正はたなざらしにされ、出てきたと思ったら骨抜きだ」と批判しました。まさにその通りです。

 日本共産党は、改定の名に値しない法案を、まともな審議も抜きに採決するやり方に、強く反対します。

 世界的な金融・経済危機の引き金になった2008年のリーマン・ショックに乗じた「派遣切り」で、08年10月からわずか1年間に23万人をこえる非正規雇用の労働者が職を失い、住まいも失いました。自殺や家族離散などにおいこまれた悲惨な状態を二度と繰り返してはなりません。理不尽な「派遣切り」の撤回を求めてたくさんの労働者が苦しい生活を続けながら裁判をたたかっています。こういう労働者を国会に招いて意見を聞き、真に労働者を保護する方向で修正する徹底した審議を求めます。

 少なくとも次のような修正が必要です。(1)製造業務派遣はいかなる形であれ禁止する(2)登録型派遣は、専門業務をきびしく限定し、原則禁止する(3)違法行為があった場合、派遣先企業に正社員として直接雇用させる「みなし雇用」規定の導入(4)正社員との均等待遇―です。こうした改定こそ待ち望まれています。

民主党の裏切りと転落

 「期間の定めのない無期雇用、直接雇用を雇用の基本原則と位置づけ、長期安定雇用を雇用・労働政策の基本とし、すべての労働者が生涯にわたって、生きがいを持って働き、豊かで安心して暮らすことのできる社会を目指します」

 これは民主党が圧勝した09年総選挙での公約です。これとまったく逆方向に走っている民主党の裏切りと転落は看過できません。


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