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2012年3月19日(月)

主張

消費税「事前審査」

とにかく増税「後は野となれ」

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 民主党が政策調査会の合同部会で消費税増税法案の「事前審査」を進めています。16日までの議論では増税法案に盛り込まれた二つの付則(「景気弾力条項」「追加増税条項」)が焦点になりました。

無謀な姿勢が鮮明に

 「景気弾力条項」は増税を実行する前に政府が経済状況を総合的に判断して、停止を含む措置を取るという条項です。ここに経済好転の指標として実質成長率2%など具体的な目標を書き込むことに民主党執行部が頑として抵抗し、党内で反発が強まっています。

 安住淳財務相は、仮に増税前に「今の時点」のような経済状況なら増税できると明言しました。「回復」に程遠い状況でも増税できるというなら「景気弾力条項」など何の歯止めにもなりません。

 「追加増税条項」は2016年度をめどに「税制の更なる改革」のための法律をつくるとしています。財政再建や年金「抜本改革」にはさらに消費税増税が必要だとして、消費税率10%にとどまらず、いっそうの増税を既定路線として法案に組み込む条項です。

 二つの付則がどうなるかは流動的です。しかし、恐慌でも起きない限り消費税増税を強行し、際限のない増税にレールを敷いてしまおうという政権の無謀な姿勢が鮮明に浮かび上がっています。

 社会保障と税の「一体改革」といっても、何より社会保障のメーンメニューは削減策です。当面の年金給付減、子ども手当削減、医療・介護の負担増などで2・7兆円、将来の年金支給開始年齢の引き上げで年金カットは6兆〜10兆円に上ります。

 「大盛り」の削減メニューに対して、給付増は政府の説明でもわずか消費税率1%分の「ダイエット」メニューでしかありません。しかも増税法案と同時に提出する予定の低所得者への年金加算は、当初案の一律1万6千円から原則6千円に引き下げられました。老齢基礎年金は満額受給で月6万6千円にすぎませんが、消費税率の5%引き上げと年金給付減(2・8%減)で月5千円以上の実質負担増になります。年金加算の8割以上が吹き飛びます。

 「社会保障と税の一体改革の趣旨は、財政再建と持続可能な社会保障のため給付をなるべく抑制していこうということにある」―。「一体改革」の「成案」をとりまとめた与謝野馨前経済財政相はあけすけに語っています(「産経」2011年12月22日付)。与謝野氏は「成案」に盛り込んだ社会保障削減策のいくつかが先送りされたことに不満をのべていますが、「一体改革」の全体像は「成案」そのままです。

消費税増税に頼らずに

 社会保障の削減と「一体」で10%への消費税率引き上げによる13・5兆円の大負担増が打ち出されています。所得も消費も落ち込み続けている家計、内需低迷や大企業の下請け単価たたきに苦しむ中小企業には耐え難い負担増です。

 日本共産党が「社会保障と財政危機打開の提言」で掲げているように、消費税に頼らずに社会保障を充実させる道はあります。内需の6割を占める家計と雇用の7割を占める中小企業にかつてない打撃を与えるやり方は景気を直撃して税収を減らし、財政も悪化させる最悪の道です。「後は野となれ山となれ」という政権の姿勢には道理のかけらもありません。


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