2012年3月18日(日)
震災と教育 シンポ開く
被災3県から問題提起
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日本教育学会(藤田英典会長、3000人)は17日、東京で震災と教育について公開シンポジウムを開きました。
被災3県が発信する「声」は日本の教育になにを提起しているかを考えるもの。宮城県を上田孝俊・武庫川女子大学准教授、岩手県を清水睦美・東京理科大学准教授、福島県を境野健兒・福島大学教授が報告しました。
上田氏は、施策的状況である「安全」と、関係性のなかで育まれる感情の「安心」は違うものだが、両方とも必要だと提起。子どもたちが惨事のなかを生き抜くために「共に歩む」援助者としての教師が求められるとのべました。
清水氏は、被災地では、学校再開時期の決定にさいして、被災した学校が、被災していない学校をおもんばかる構図があったと指摘。被災地以外でも、「『ふつうの生活』が被災地を救う」という言説が広がるなど、被災していない者の日常を基準とした復旧・復興・支援の構図があったのではないかと問題提起しました。
境野氏は、子どもたちの走力など体力が低下している、仮設校舎で特別教室や教材が不足し、長時間通学が常態化しているなどの現実や、友だち関係の切断、コミュニティーの喪失などを指摘し、課題をのべました。
同学会は昨年8月、特別課題研究に「大震災と教育」を設定し、11研究グループの43人が現地訪問などを続けています。