2012年3月15日(木)
社会主義的民主政治「漸進させる」
中国・全人代閉幕 温首相が会見
【北京=小寺松雄】北京で開かれていた中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の第11期第5回会議は最終日の14日、政府活動報告などを採択して閉幕しました。
来年の全人代で首相を退任する温家宝首相は閉会後、3時間近くにわたって内外記者の質問に答え、「最後の会見になるが、残る任期の1年にいくつかの課題はやり遂げたい」と意欲を示しました。
記者会見は中国政府側が質問内容を調整。今年は「政治体制改革」「直接選挙」「社会的公平と正義」など民主主義に関わる質問が多く出されました。
温首相は「分配の不公正、汚職腐敗などの問題は、経済体制改革だけでなく政治体制、特に党と国家の指導制度の改革が必要だ」と指摘。そのうえで「社会主義的民主政治を漸進させる。諸事情はあるが、停滞は許されない」と述べました。
選挙制度については広東省のある村での選挙が改善されたことを踏まえ、「村のことがきちんと処理できるなら、(その上の行政単位の)郷や県のこともきちんとやれるようになる」と語り、将来的には住民代表の直接選挙の範囲を広げていく意向を示しました。
社会的公平の前進については、この間の「農業税の廃止」「9年制義務教育体制の基本的完成」などを成果として示し、「私の任期の残り1年、以下のことはやり残したくはない」と語りました。
温氏は、具体的課題として、(1)所得分配の改革(2)農民の土地収用への補償(3)養老保険の徹底(4)貧困救済基準の前進(5)教育予算を国内総生産(GDP)の4%にする―ことを挙げました。