2012年3月14日(水)
原発労働者に届かない危険手当
東電「元請けに徹底」
福島・いわき市 党渡辺議員に
東京電力福島第1原発事故の「収束」作業に従事する原発労働者に「危険手当が届かない」という問題で東電は12日、「必ず作業している方に仕事の成果としていくように努力したい」と表明しました。福島県いわき市議会東日本大震災復興特別委員会に出席、日本共産党の渡辺博之議員の質問に答えたもの。
同特別委員会に出席し、回答したのは東電の小森明生常務取締役原子力・立地本部副本部長ら5氏。
小森氏らは渡辺議員が事前通告した19項目の質問に回答。このうち危険手当について東電側は、現場作業の線量、時間を踏まえて「割り増しなどの単価として査定を示し、これからも必要な経費としていく」との考えを示しました。
危険手当が末端の労働者に届くよう「(請負)企業にお願いし、必ず作業している方に(届くよう)引き続き努力したい」と確約しました。そのうえで、「そういうことがしっかりできないと(収束に向けた)仕事そのものも継続しないとわれわれも重々認識しているので、仕事の中身をよく把握して実施を元請けさんにお願いしたい」としました。
解説
廃炉作業に不可欠 危険手当
東電福島原発事故での労働者への「危険手当」をめぐる東電のこれまでの対応は、元請けなど請負会社と労働者との雇用契約上の個別問題であり「把握していない」という態度でした。
しかし、現場の原発労働者からは「危険手当は請負会社がピンハネし、まったく支給されていない」などの実態が異口同音に語られてきました。危険手当の支給問題を再三取り上げてきた日本共産党の国会議員団や渡辺議員の追及に東電は「危険手当を検討する」としながら、実際には元請け任せにしてきました。
この問題は、東電福島原発の廃炉に向けた作業を確実に実施するための不可欠な労働条件です。
今回の回答について渡辺議員は、現場労働者の切実な訴えを取り上げてきた日本共産党の奮闘、「しんぶん赤旗」などの連携した報道が東電を動かした、としたうえでこう強調します。「東電が公的な場所で明確に、末端労働者に(危険手当が)届くように努力すると言ったのはこれまでになく、大きな成果だ」 (山本眞直)