「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2012年3月10日(土)

主張

「再稼働」発言

福島原発事故の究明がまだだ

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 定期点検やトラブルなどで停止中の原子力発電所の「再稼働」について、野田佳彦首相や枝野幸男経済産業相らの発言が相次いでいます。いま国内では54基ある原発のうち2基を除く52基が停止中です。再稼働できていないのは、東京電力福島原発の事故原因の究明さえ終わっておらず、国民の反対の声が大きいからです。本来、世界有数の「地震国・日本」で原発からの撤退こそ求められるのに、地震や津波がどのように事故をもたらしたかの解明もつくさず、形ばかりの対策で再稼働を認めるのは、絶対に許されません。

事故原発の内部は不明

 見過ごせないのは野田首相が7日、福島原発事故の事故原因などについて調査している政府の原発事故調査・検証委員会が昨年12月に「中間報告」をまとめたことなどで、「一定程度の知見は生まれてきている」と、再稼働が近いように発言していることです。

 中間報告は、国と東電が“安全神話”にどっぷりつかり、事故への備えを欠いたことが史上最悪の原発事故をもたらした経過を明らかにしただけです。大震災で電源が途絶えて原子炉の冷却ができなくなり、炉心が溶融、建屋の爆発事故まで起こした福島原発は、放射性物質で汚染され、いまだに内部の様子がわかりません。

 中間報告自体、原子炉格納容器や重要な配管の破壊は確認できないとしましたが、現場の状況がわかるまでは最終判断できないとしています。事故原因について「一定の知見」が得られているかのようにいう発言が、事実を反映していないのは明らかです。

 福島原発の事故後、政府は全国の原発に非常電源を確保する電源車の配置や建屋が爆発しないよう水素を逃がす穴を開けるなどの緊急対策を求め、どれぐらいの地震や津波に耐えられるのかの「ストレステスト」(耐性試験)を実施してきました。「ストレステスト」は停止中の原発にまず第1次の評価を行っていますが、それで安全が確認されるわけではありません。福島原発事故によって、これまで建設の条件にしてきた地震や津波の基準そのものが不十分だったことが浮き彫りになっているからです。

 班目(まだらめ)春樹原子力安全委員長は最近、「ストレステスト」の1次評価は再稼働とは関係ない、総合的な安全評価は時間がかかる、原発の立地指針そのものを見直している―といった発言を繰り返しています。班目委員長の発言は1次評価で再稼働を認めるかどうかは政府の判断だと責任を回避する無責任な面もありますが、少なくとも「ストレステスト」が再稼働に直接結びつくものでないことだけは明らかです。

安全抜きの決断は暴走

 再稼働問題では、枝野経産相や藤村修官房長官が、まず政府が判断し、地元の同意を求めると発言しはじめているのも重大です。明らかに再稼働に前のめりの発言で、まず政府が“お墨付き”を出し、再稼働に不可欠な地元自治体の「同意」を促進しようということになりかねません。

 原発事故の原因究明も尽くさないまま政府が「安全」だと再稼働を決断するのは、文字通り新たな“安全神話”をつくるものです。そうした“神話”を繰り返さないことこそ事故の教訓であり再稼働前提の「暴走」は許されません。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって