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2012年3月9日(金)

12年度予算案に対する

笠井議員の反対討論

衆院本会議

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 日本共産党の笠井亮議員が8日、衆院本会議で行った2012年度予算案への反対討論は次の通りです。


 私は、日本共産党を代表して、2012年度総予算3案に反対の討論をおこないます。

 第一は、消費税増税を前提とした予算だからです。

 野田内閣は、「社会保障・税一体改革」と称して消費税10%への大増税をすすめようとしていますが、これは、国民生活に深刻な打撃を与え、経済も財政も破壊するものです。本予算では、基礎年金国庫負担2分の1に必要な財源に交付国債を充てることとし、その交付国債の償還財源を消費税増税でまかなうとしているのであります。このようなやり方は到底、許されません。

 社会保障の財源は、証券優遇税制の廃止、新たな法人税減税の中止など、富裕層や大企業を優遇する不公平税制を是正すること、八ツ場(やんば)ダムや東京外環道などの大型開発や、軍事費など、歳出の無駄にメスを入れることによって確保すべきです。

 第二に、社会保障切り捨ての予算となっていることです。

 野田内閣は、消費税増税は、社会保障のためといいますが、「一体改革」は、切り捨てのメニューが目白押しです。

 年金支給額は、特例水準の解消、物価スライドを口実に、過去最大の削減となります。この4月から、後期高齢者医療制度、介護保険制度の保険料が、ともに大幅に値上げされます。これらは、高齢者の生活を直撃するものです。

 民主党の「看板」政策だった「子ども手当」を廃止し、手当を大幅削減しています。その一方で、年少扶養控除廃止による住民税の増税が実施され、児童扶養手当も削減されるなど、子育て世代に厳しい予算となっているのであります。

 国民に消費税増税を押し付け、社会保障は削減する、まさに「一体改悪」といわなければなりません。

 いま求められていることは、医療、年金、介護、障害者福祉、失業対策、生活保護など、あらゆる分野で大きく崩された社会保障の再生に踏み出すことです。

 第三に、国民の生活をささえ、長期にわたり低迷・後退に陥った日本経済を立て直す予算とはなっていません。

 外需依存の「成長戦略」、大企業の利益最優先の経済政策は、すでに破綻しています。

いま必要なことは、国民の所得を増やし、内需主導の経済政策に転換することです。人間らしい労働のルールの確立、本格的な中小企業振興策の実施、食料自給率の向上と農林漁業の再生など、抜本的な対策をすすめるべきです。

 日本の農業に壊滅的打撃を与え、地域の雇用と経済を破壊するTPP(環太平洋連携協定)への参加はやめるべきです。アメリカは、交渉を通じて、郵政完全民営化、金融・保険、混合診療などの医療、食品安全基準、公共事業など、あらゆる分野での規制緩和・市場開放をもとめています。これは、国民の生活と安全を脅かすものであり、断じて認められません。

 また、労働者派遣法が、昨日の厚生労働委員会で、民主、自民、公明の3党修正によって、まったくの骨抜きにされ、この本会議で採決されようとしています。政府案は、製造業派遣、登録型派遣の原則禁止をいいながら、「常用雇用」や「専門26業種」を除外するなど大きな抜け穴がありました。その極めて不十分な政府案ですら、「アンチビジネス」などと言って反対する財界のいいなりになり、国民への公約を投げ捨てた民主党政権の責任はきわめて重大です。

 第四に、沖縄の米軍普天間基地問題で、辺野古への新基地建設を沖縄県民の総意をふみにじって押し付けようとしていることは、断じて認められません。

 しかも政府が強行した環境アセス評価書は、その内容がきわめてずさんなだけでなく、その事業そのものにも重大な疑惑があります。グアムへの米軍基地建設経費の負担は、中止すべきであります。

 武器輸出を全面禁止した国会決議を、一片の内閣官房長官談話で覆し、武器の国際共同開発・生産に道を開くことは、憲法の平和の理念を踏みにじるものであり、断じて許されません。

 第五に、東京電力福島第1原発事故から1年たったいまも、東電と国は被災者への全面賠償に背を向け、除染も遅々としてすすんでいません。根拠もなく「収束宣言」をした政府にたいし、多くの国民、被災者から不信と憤りの声があがっているのは当然であります。

 原発事故の収束、損害の全面賠償、電力の安定供給と再生可能エネルギーの急速な普及のためには、東電とメガバンクなど利害関係者に責任と負担を求めるべきであります。地域独占体制とブラックボックスの「総括原価方式」に全面的なメスを入れ、電気代の大幅値上げはやるべきではありません。事故原因の究明もないまま原発を再稼働するなど絶対認められません。原発からの撤退こそ、いま政治決断すべきなのであります。

 まもなく3月11日を迎えます。東日本大震災の被災地では、懸命な努力がつづけられています。復興への展望を本格的に切り開くためには、その要である「働く場」の確保、農林水産業の再建など、被災者の生活と生業(なりわい)の再建に国がその責任を果たしきらなければなりません。以上を強調し、討論を終わります。


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