2012年3月9日(金)
消費税大増税 そこが知りたい
日本の景気は大丈夫?
Q 消費税を5%から10%に引き上げて、日本の景気は大丈夫でしょうか。
A 大丈夫ではありません。
1997年に消費税を増税したときには、景気が回復しかけていましたが、増税で一気に消費が冷え込み、景気はどん底に落ち込みました。
97年をピークに家計の所得も消費も落ち続け、サラリーマン世帯の平均では、14年間に年収で102万円、消費支出は59万円も減少しています。当時の橋本龍太郎首相も、消費税の増税が大不況の原因の一つだったと、その誤りを認めています。
野田佳彦首相も、野党時代には「橋本政権によって行われたこの増税政策は、…もっとも愚かで、もっとも無意味で、破壊的な経済政策と言われることになろう」(イギリスの「タイムズ」紙)という論文を引用して、自民党政府の増税路線を批判していました。
いまは、景気が回復基調にあった97年と違って、所得も消費も減少が続き、国際的な経済情勢も悪化しています。こんな中で、97年を倍する規模の大増税を行ったら、前回以上に深刻な景気悪化になることは火を見るより明らかです。
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社会保障のためなの?
Q 消費税の増税は「社会保障のため」ってほんとうですか。
A これは国民をだます宣伝です。
政府は、消費税増税分は「すべて社会保障に充てる」といいます。
よくみると、引き上げる5%分のうち4%分の10兆8000億円は、「社会保障の安定化」に充てると説明しています。「安定化」というのは、これまでの社会保障予算の財源を消費税に置き換えるだけです。
すると、社会保障の従来の財源が「浮く」ことになり、他の使途に充てられることになります。公共事業か、軍事費か、それとも大企業減税の財源かはわかりませんが、社会保障以外であることだけは確かです。これでは、消費税増税分を、ほかのことに使うのと同じことです。
残りの1%分、2兆7000億円は、「社会保障の充実」に充てるといいます。ところが、政府の「一体改革」には、年金の減額や子ども手当減額、老人医療費引き上げなど、負担増の計画が目白押しです。これによる負担増で、2兆7000億円は消えてしまいます。さらに、将来的には年金支給開始年齢の引き上げ(68〜70歳)も検討課題になっており、実施したら6兆〜10兆円も年金が減ってしまいます。
「社会保障のため」といって増税しても、事実上、社会保障には1円も使われないということになります。
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