2012年3月7日(水)
大幅アップ 後期保険料 介護保険料
富裕層優遇続け 国民に負担増か
笠井議員の追及 衆院予算委
富裕層には優遇を続け、国民には負担増と消費税増税など許されない―。6日の衆院予算委員会で質問に立った日本共産党の笠井亮議員。大企業と富裕層にモノがいえない野田政権の姿勢を浮き彫りにしました。
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国民への負担増として笠井氏がまず取り上げたのが後期高齢者医療制度の保険料。2年ごとに改定され、東京都では年平均8万7132円が4月には9万4460円へと、7328円もの値上げとなります(グラフ)。全国43都道府県でも値上げとなる見込みです。
笠井 それでなくても大変な高齢者の生活にどういう影響を与えると認識しているか。
野田佳彦首相 「世代間の公平」から一定の負担は必要だ。
笠井 後期高齢者医療制度「廃止」の公約はどこへいったのか。この制度を弁護する答弁とはあきれる。
65歳以上の介護保険料も、4月からは月額5000円程度へ大幅アップとなる見込みです。
笠井氏は、家賃や介護保険料を差し引かれ月5万円で暮らす年金生活者が「どうやって暮らしていくのか」と悲鳴を上げていると述べました。
笠井 全国から悲鳴と怒りの声がわき起こっている。
小宮山洋子厚労相 現役世代も負担しており、理解してほしい。
笠井 高齢者の痛みに対する思いがひとかけらも感じられない。
笠井氏は、保険料大幅引き上げの背景として、介護職員の賃金を月1万5千円程度引き上げてきた「処遇改善交付金」(1900億円)を4月から打ち切ることを追及しました。同交付金が全額国費であるのに対し、打ち切るかわりに介護事業所に加算される介護報酬の財源は保険料、利用料、国と地方の公費です。
笠井 交付金を廃止して介護報酬の加算で手当てすれば、保険料や利用料が上がる。国の支出は1400億円も減る。
厚労相 今の財政状況で安定的に出すとすると介護報酬でやらざるをえない。
「保険料アップにつながらない方法で介護労働者の賃金を月4万円程度引き上げる」という民主党の政権公約(2009年)を投げ捨てる答弁に終始する小宮山氏。笠井氏は、交付金は、2009年3月に当時の民主党、日本共産党など野党4党が法案を出したのをうけて、自公政権のもとでも、国が直接出すことにしたものだと指摘し、公約違反を批判。「国だけが責任を大きく後退させて、国民と地方自治体に肩代わりさせるのは論外だ」と述べました。
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消費税増税など許されない
笠井氏は「増税というなら、まず富裕層から応分の負担を、といいたい」と強調。欧米では富裕層から「自分たちにも増税を」との動きが活発になっていると紹介しました。
米国の投資家ウォーレン・バフェット氏、フランスでは化粧品会社ロレアル創業者の娘をはじめ富豪16人、イタリアでも自動車会社フェラーリ社長ら、ドイツでも富裕層が「格差拡大を阻止するため富裕層への課税強化」をと声をあげています。
野田首相も「格差是正、所得再分配の見直しが広範に広がっている」と認めざるをえません。笠井氏は、国税庁統計から所得が1億円を超えると税負担率が下がることをグラフで示し、富裕層に応分の負担を求めました。
安住淳財務相 証券優遇税制が影響している。所得5000万円超は税率を40%から45%に引き上げる。
笠井 5%引き上げて税収増はいくらと見込んでいるか。
財務相 400億円程度だ。
笠井 せいぜい3万人、400億円程度にしかならない。それで消費税増税で13兆円などとんでもない。
笠井氏は、経済協力開発機構(OECD)が昨年12月に報告書で「富裕層に公正な比率の税を負担させるべきだ」と提起していることをあげ、「格差拡大、財政危機が深刻な日本こそ富裕層への課税強化を検討すべきだ」と迫りました。
野田首相は「再分配を見直す方向で議論していく」と答弁。笠井氏は、所得税を98年の減税前に戻し、高額資産に課税する「富裕税」の創設などを提起。「金持ち優遇をきっぱりやめようともせず、消費税増税など許されない」と強調しました。
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