2012年3月2日(金)
主張
東電福島事故1年
“原発ゼロ”の決断こそ急務
東日本大震災の発災と、それにともなう東京電力福島第1原子力発電所の過酷事故発生から、11日で1年を迎えます。
人類史上最悪の「レベル7」の重大事故となった東電福島原発事故は、1年を経過しても事故そのものの収束や飛散した放射性物質の除染、被害の賠償などが進まず、逆に深刻さの度合いを増しています。事故の収束と被害の賠償に全力をあげるとともに、いまこそ政府が原子力発電からの撤退を決断し、“原発ゼロ”を実現していくことが求められます。
原発事故の「異質の危険」
原発事故にともなう県内・県外への避難者は16万人を超え、長期化とともに新たに県外へ避難する人も増えており、県外避難者は自主避難を含め、子どもたちの避難者1万5千人など6万2千人以上といわれています。いったん除染しても周囲から土砂などが流れ込んで再び放射性物質の濃度が高まるところもあり、内部被ばくを含めた放射能汚染への不安が、福島県民に襲いかかっています。
間もなく雪解けを迎えますが、今年のコメの作付けをめぐっても福島県内の農家は大きな不安に直面しています。沿岸での漁業再開のめどもまったく立っていません。福島原発が立地する双葉郡内などでは、自治体の存続自体が可能か、不安が広がっています。
福島県内だけでなく首都圏各地でも深刻な放射能汚染の実態が次々と明らかになってきています。原発事故には長期間、広い範囲にわたり、社会そのものを崩壊させる「他の事故には見られない『異質の危険』がある」と日本共産党が指摘してきた事態が、日々目の前で広がっています。
野田佳彦政権は昨年12月、原発事故の「収束」を宣言しました。福島県内の問題があたかも「解決」したかの印象を与えるこの宣言に、福島県議会は怒りを込め全会一致で「撤回」を求める決議をあげました。「収束」宣言は、福島県内でも首都圏でも大きな問題となっている除染や賠償を妨げ、全国的には原発再稼働を加速することにもなりかねない危険を持つものです。福島原発ではいまも新たな問題が次々発生しており、「収束」などと呼べないことは明らかです。
一方、事故の当事者である東電はいまだ原発事故を「人災」と認めず、賠償請求にも真剣に応えようとしていません。福島県内では母親が、農民が、漁民が「子どもたちを守れ」「住み続けられる福島を」「生業の回復を」と徹底したモニタリングと除染、全面賠償を求め、「除染、賠償、原発ゼロ」を求める県民ぐるみの「オール福島」のたたかいが前進しています。
3・11を節目に全国で
全国各地でも原発からの撤退を求める「一点共闘」が広がっています。昨年12月には日本共産党も加わる「原発をなくす全国連絡会」が結成され、節目となる11日に「震災復興、なくせ原発全国いっせい行動」をよびかけました。当日は東京・井の頭公園で、震災復興とあわせ、「3・11行動東京」が開かれます。福井県敦賀市での史上初の集会など全国すべての都道府県でも集会、パレードなど多彩な取り組みが準備されています。
日本共産党は、「原発ゼロ」の一点共闘の発展に協力し、原発からの撤退を政府に迫る全国の運動の前進のため、全力をあげます。