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2012年3月1日(木)

仕組みを大本から変えれば展望が開かれる

消費税に頼らず、社会保障充実、財政危機打開は可能

BS11 インサイドアウト 志位委員長の発言

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 日本共産党の志位和夫委員長が、27日放送のBS11番組「インサイドアウト」で行った発言の要旨は次の通りです。


政府の方針では、「社会保障の安定財源」も「財政健全化」も両方ともダメになる

 二木啓孝(ふたつき・ひろたか)・日本BS放送解説委員 今国会の焦点は消費税増税ですが、2月10日の衆院予算委員会で委員長は、野田(佳彦)首相に直接いろいろぶつけられました。質問の中身を聞いていると、大体いま消費税について政府・与党の意見としては、“このままいくと社会保障が破綻してしまう”とか、もう一つは“国と地方合わせて膨大な赤字国債を抱えてしまっている。それをどうするんだ”という財政再建問題、つまり社会保障と財政再建ということがあると。

 (それに対して)共産党あるいは志位委員長の話は、“もっと仕組みを変えろ”というように聞こえるんですが(志位「そうです」)、そのあたりをおうかがいしたいと思います。

 志位 さきほど、なぜ消費税を上げるかについての政府の側の理屈をいわれました。政府の「一体改革(要綱)」を読みますと、「社会保障の安定財源」をつくる、それから「財政健全化」をはかる。これを「同時に達成」するために、消費税の値上げをお願いしますという理屈になっているんですが、端的にいうと、「同時に達成」などできない。両方ともダメになるというのが、私たちのこの前の論戦ではっきりしたと思います。

「一体改革」というが、消費税大増税と社会保障改悪の「一体改悪」が正体

 志位 まず、社会保障はいったいどうなるのかと私は聞きました。そうしますと、消費税を5%上げると13・5兆円の増税、そのうち社会保障の「充実」にあてるのはいくらかと聞くと、2・7兆円とわずか1%分です。

 では、減るのはどれだけかをざっとみると(フリップ1)、2015年までで、年金(減額)、子ども手当(減額)、医療費の負担増、介護利用料(値上げ)などでちょうど2・7兆円減ってしまいます。中長期には年金の支給開始年齢の引き上げで6兆円から10兆円減る。減るほうが多いわけです。ですから、社会保障は今度の「一体改革」ではよくならない。

 しかも「充実」のなかには、「子ども・子育て新システム」のような市町村の保育の義務を放棄するような中身も入っていますから、ますますよくならない。ですから、社会保障は全体として今度の「一体改革」で改悪になるんです。これが、「一体改革」の正体だということをまず一ついいたいんです。

図

(図)フリップ1

消費税を増税しても、景気が悪くなれば、全体の税収は落ち込む

 二木 まず1%を充当するということですが、“年金の給付を下げるとか、給付年齢をあとにずらすのは、しょうがないですよ”と、社会保障を守るために“それなりの負担をしてください”というのがいまの政府の説明ですよね。

 志位 そういう説明をするわけです。しかし、それでは消費税を上げたら社会保障の安定財源がつくれるのかという二つ目の問題が出てくるんです。(質問で)私はそれを聞いたんですが、1997年に消費税を5%に上げた経験があるわけです。そのあと全体の税収は、96年と2010年の比較で90兆円から76兆円に、14兆円も落ちた。14年間の累計で84兆円もの税収が落ちているんです。その分、借金が増えてしまっているわけです。なぜこうなったのかと政府に聞くと、いろいろいっていましたが、やはり“景気が悪化した”と。消費税を上げたら景気が悪くなった。景気が悪くなれば、消費税を上げても、税収全体は落ちるわけです。安定財源はつくれないということですね。

 二木 バブル以降、やはり法人税(収)そのものが下がっていきますと、同時に給与も下がるという意味では、この所得税、住民税も下がっていく。これは、デフレあるいは日本の成長が鈍化していくなかでは、致し方ないという説明を聞いているんですが。

 志位 ただ、景気が悪化したと同時に、大企業向けの減税と高額所得者の減税をずっと続けてきた。この大企業と富裕層への減税のばらまきが、(税収減の)もう一つの原因になっているわけです。人為的に減らしてきた分プラス景気の悪化で、法人税、所得税が減ってしまった。

企業は「需要」のあるところに投資する――“法人税のせいで逃げる”は道理ない脅し

 二木 一般的には、あまり法人税を取れば外国に逃げるというのは、われわれの感覚としてよくわかるんですが。

 松田喬和(たかかず)・毎日新聞論説委員 企業もグローバル化していますから、海外のより賃金の安い、税金の安いところへと(逃げていく)。それから、景気に関係なく消費税というのは増えてくるわけで、将来、一番景気の変動に左右されないで政府がめどとする税収が上がるのが消費税だと。

 志位 たしかに、(消費税は)取るほうからすれば取りやすい。ただ、取られるほうからしたら、景気が悪いなかでも取られるわけですから、こんなつらい税金はない。

 それから、法人税のいまのお話については、私も国会でも聞いたのですが、経済産業省が6000社ぐらいを相手に、企業が投資を行う場合の決定のポイントはなにかというアンケート調査をやっているんです。断トツのトップは「需要があるところに投資する」が六十数%あるんです。税金(法人税)は下のほうで、10%ぐらいしかないです。

 企業は需要を求めて海外にでていくわけです。日本が空洞化するのは、日本に需要が不足しているからなんです。そこに消費税を(増税で)どーんとかぶせて、需要をもっと冷え込ませたら、空洞化をもっとひどくする悪循環をつくるわけです。“法人税が高すぎるから出ちゃうぞ”というのは脅しで、ひどい話だと思います。(笑い)

 松田 あとは、外からくる場合、どっちが(法人税が)安いかと、日本にいこうか、韓国にいこうか、中国にいこうかというときに、外資はなかなか日本に入ってこない一つの要因になっているとは思います。

 志位 最大の要因は日本の内需が冷え込んで、日本でモノが売れないからです。売れないところには投資しないし、工場もつくらないということになっている。

20兆円もの巨額負担増をかぶせれば、経済も財政も共倒れになる

 二木 そこがいつも議論になるところで、内需を喚起するということを政府はやるんですが、では喚起するためにモノをつくれば売れないからデフレになるという構図になってくる。そこに働いている人は給与が下がるから購買力がなくなるという(悪循環がある)。どこかで(止めないといけない)。

 志位 どこでその悪循環をただしていくかという問題が、次に出てくると思うんです。

 もう一つ、これも国会で使ったもの(フリップ2)ですが、勤労者世帯の可処分所得と消費支出の1990年から2010年までの推移です。97年に消費税を5%に上げ、そのほかも含めて9兆円の負担増というのがありました。このときは可処分所得は伸びていたんですね。それを上回る負担増でどーんと不景気になって、その後は、可処分所得が596万円から504万円まで減っている。消費支出もやはり同じように減っていくわけです。1回こういう経験を日本はしているわけです。

 そのときと比べても、いまは可処分所得は減って、消費が減っている。日本のGDP(国内総生産)が長期にわたって低迷、低落傾向にある最大の原因は国民の所得が減っている(ことにある)。だから家計消費もどんどん冷え込む。これがいまの悪循環をつくっているわけです。そこに、今度の消費税プラス保険料なども上がりますから、ちょうど20兆円ぐらいの負担増になるんですが、一家平均で25・5万円ぐらいの実質所得の減少がボーンとかぶさったら、可処分所得をそれだけ奪うわけです。そうすると、消費がますます冷え込んで、ますます景気が悪化する。そうしますと税収も入らなくなり、財政破綻もひどくなる。ですから、政府は消費税を上げれば「社会保障の安定財源」がつくれ、「財政健全化」も進みますよというけれども、両方とも共倒れになるのが実態だと、国会でずいぶんやりました。

図

(図)フリップ2

経済を内需主導の成長軌道にのせ、税収を増やし、長期債務を減少に向かわせる

 二木 いま国と地方で1千兆円ぐらい借金がある。来年度予算についても、やはり90兆円のうち42兆円から43兆円ぐらいの赤字国債があります。赤字国債で税収の不足分は埋めていかなければという政府のジレンマがある。国民からすると、この借金は最終的にどうするんだろうかという(思考)回路があります。この辺はどうみていますか。

 志位 さきほどいったように、日本の大きな問題は、長期にわたって経済が低迷、後退している、それに即して税収も減っているわけです。つまり税収の空洞化が財政危機の最大の要因になっている。

 じゃあ、どうすればいいか。やはり日本の経済を内需主導で健全な成長の軌道にのせることです。私たちは2%強の成長は可能だと試算しています。そうなってきますと、税収が自然に上がってきますし、もう一つ大事なのは、財政危機のことを考える場合、対GDP比の長期債務が重要なんです。

 日本の場合、GDPが全然伸びないでしょう。だから、借金が増えた分は、そのまま対GDP比(の借金)の悪化につながるわけです。欧米は、けっこう借金を増やしているんですが、GDPも伸びていますから、対GDP比の借金は、そんなに増えていません。日本は、そこに二重の問題があるわけです。

 ですから、経済を家計主導、内需主導の安定的な成長の軌道にのせることが税収を増やし、対GDP比で長期債務を減少に向かわせていく一番の力になると考えています。

中小企業の5〜7割が、「増税されたら転嫁できない」

 二木 もう一つ、消費税を納税しているのは、たとえばメーカーであり、小売り(業者)です。そこの部分は、実際に消費税が引き上げられた場合、販売価格に転嫁できるかどうか。実際、税金は払わなければいけない。ここのご説明をちょっとお願いしたいんですが。

 志位 これは非常に深刻な問題で、日本商工会議所などの中小企業4団体が調査をしているんですが、「引き上げられた場合に転嫁できますか」との問いに対し、売上高が小規模の企業は、「転嫁できない」が71%。1億円から2億円の中小企業でも、50%が「転嫁できない」と答えている。いまでも多く(の中小企業)は転嫁できないのに、それがさらに転嫁できなくなる。

 「転嫁できない」というのは、どういうことになるか。自営業者、企業の経営者の方に聞いてみますと、たとえば自分の定期預金を下ろす、保険を解約する、家族の人は無給で働く、あるいは、泣く泣く人件費を削る。赤字であっても消費税は払わなければならないから、そういう形で結局、自腹を切る、身銭を切るわけです。

 そういう方々が口々にいっておられたのは二つです。一つは、消費税という税金は、利益にかかる税金ではなく、売り上げにかかってくる。赤字でも情け容赦なく取られる。この税金の不合理な仕組みです。

 もう一つは、これ以上消費税が上がったら景気が悪くなる。景気が悪くなったら売り上げはますます落ち、利益が減る。しかし、納める消費税は2倍になる。もうやっていけなくなる。街の八百屋さんも豆腐屋さんも、なくなってしまうという訴えでした。

 この「転嫁できない」という問題は非常に深刻です。私は政府に「転嫁できない場合、一体どこから業者のみなさんは払っているんですか」と聞いたら、答えられないんです。何と答えたか。「安心して転嫁できる環境をつくります」というんです。(笑い)

 二木 どういうふうにするんでしょう。

 志位 「環境」といっても、とくにいま小売りの方たちが転嫁できないのは、デフレだからでしょう。消費税が上がった分を値段に上乗せなんかできないとおっしゃいます。やりようがないですよ。消費税が導入されて23年間、この転嫁の問題はずっと大問題で解決しなかったんですが、それが10%になったら、急に転嫁できるようになるわけない。これは大問題です。

「ここが一番肝の部分」(二木)、「(政府は)説明不足、認識不足」(松田)

 二木 私は消費税を上げようとする人たちにぜひ答えてもらいたいのは、実はここの部分です。生活に一番密着した部分ですが、そもそも価格に転嫁するという言葉自身が非常に矛盾なんです。当然、それは100円のものに5円を乗っけてださなきゃいけないけど、大手のスーパーなら大量仕入れをしたり、コストを下げることで耐えられる。では、街の小売りの人は、結局家族で働いているところを無給にするしかないという構造(です)。

 志位 そうです。無給にするか、わずかな資産を切り売りしながら払っている。非常に深刻です。いま、中小企業の73%は赤字です。ところが、消費税というのは、赤字の企業も払わないとならないんですから。これは本当に大きな矛盾です。

 二木 松田さん、いわゆる国家財政のところから消費税の話という、スキームで(枠組みとして上から)下りてくる話と、実際に消費者、小売りのところの売り上げというのは、実は随分風景が違うと思うんです。政府、財政当局からは「環境でしょ」みたいにいわれてしまうが、実はここが一番肝(きも)の部分です。

 松田 そこの肝の部分は、説明不足、認識不足です。消費税の引き上げについて、初めは賛成というのは結構あったんですが、具体的な話になってくると、反対のほうが強くなって、いまは反対が逆転しています。これからの高齢化社会に対応するには、上げざるを得ないよねという話で済んできたけど、実際にこれがリアリティーを持って、いついつから上がりますとか、いつ法案が出るとなってくると、反対論が強くなってきているというのは、二木さんが指摘された“上から下りてくるもの”“下から見るもの”で、まさに“虫の目と鳥の目”みたいなものですね。

 志位 年金暮らしのお年寄り、サラリーマンの方々、業者の方々の生活の実感からすると、いろんな理屈を並べられても、“とても暮らせないよ”“とても商売続けられないよ”というところから反対が強まっていると思うんです。

「社会保障の段階的な充実」と「国民の所得を増やす経済改革」を同時並行で

 二木 税金は公平な形で払うんだったらいい、公平に使われるのならいいですが、ただ“払いたくない”という問題からもう一歩進んで矛盾がでてくるのかなと思うんですが。日本共産党の提言を2月の初めに出したのは、具体的にどういうことなのかと。

 志位 (フリップ3)私たちの考え(日本共産党の提言)の基本的なことをお話ししますと、二つの柱を同時並行でやろうと。つまり、「社会保障の段階的な充実」と、「国民の所得を増やす経済改革」の両方を同時並行で進めてこそ初めて問題が解決し、財政危機も解決に向かうという考え方を持っています。

 つまり、いまの経済がずっと停滞、後退しているのをそのままにして、この枠の中で歳出、歳入をあれこれやっても展望がでてこない。経済全体のパイを大きくして、税収を増やす。その税収で財政危機も打開し、社会保障の安定財源もつくりだす。「所得を増やす経済改革」と「社会保障の段階的な充実」の両方をやるのが私たちの考えです。

 二木 共産党は国民所得を増やすということですが、これは財政健全化ということでも…。

 志位 はい。そっちにつながります。

図

(図)フリップ3

「ほかの政党と政治姿勢、パラダイム(ものの考え方の根本)が違う」(二木)

 二木 実はここがほかの政党と違う。なんというか、政治姿勢の違いというのか、パラダイムといういい方をしますが、ちょっと構造が違うんですね。

 志位 根本的に違うのが、そこの財源のところになります。

 二木 これをもう少しご説明ください。

 志位 まず段階的に壊れた社会保障を再生する、そして先進水準に拡充する。こういう2段階で進めようということです。

 第1段階では、まず八ツ場(やんば)ダムのような無駄な大型開発、「思いやり」予算をはじめとする軍事費、政党助成金などにメスを入れて、3・5兆円ぐらいは出そうと。

 同時に、増税をするなら富裕層・大資産家、大企業に応分の負担を(求める)ということです。たとえば証券優遇税制はやめ、とくに高額の株の取引には欧米並みの30%の課税をする。それから大企業への追加の減税はやめて、研究開発減税のような不公平税制をただしていく。

 さらには「富裕税」も考えています。これはすでにフランスでは行われていますし、日本も一時やったことがあるんです。戦後の「シャウプ税制」(導入)のときです。5億円以上の資産に累進的に1%から3%の税金をかけようというもので、いま欧米はどこでも富裕税が問題になっています。これを導入する。

 それから「為替投機課税」です。投機的な為替取引が経済をかく乱しています。これに0・01%の税をかけて、投機を規制していく。これはEUでも取り組まれつつありますが、これを日本でもやる。こういうことをやると12兆円から15兆円のお金が出てくる。それを医療や年金や保育などにあてていこうと。これが第1段階です。

 二木 累進課税も強化すると。

 志位 そうです。第2段階では、最低保障年金や医療費の窓口負担をゼロにするなどの抜本的なこと―ヨーロッパでは当たり前ですが、そこまで進もうとすると、これだけでは足らなくなる。そのときに私たちは国民のみなさんにも、みんなで力に応じた負担をお願いしなければならないと思っています。その場合も“弱いものいじめ”の消費税ではなく、所得税の累進課税を強化する改革をやり、約6兆円のお金を出します。

 法人税については、日本一国で上げるのはなかなか難しい面があります。いま(国際的な)引き下げ競争をやっていますが、OECD(経済協力開発機構)もこれは有害だと警告している。国際的に呼びかけて、国際協調で法人税は引き上げていく展望を持っています。

応能負担の原則――近代の税制民主主義の基本にたって

 二木 いまのご説明でどのぐらい財源がひねり出せるのかをみると、やはり富裕層、大企業に負担を求めるという形で、能力に応じた負担を求めるというような。

 志位 そうです。応能負担の原則です。

 二木 この辺は、やはり財界が目をむいて怒りそうですが。(笑い)

 志位 そうですね(笑い)。財界の抵抗が一番強いけど、やはり税金は負担能力をもっているものが払う。これは近代の税制民主主義の基本で、フランスの1789年の人権宣言の13条にも、応能負担と書いてあるんです。いまフランスで応能負担が問題になっていますが、「ル・モンド」(仏日刊紙)でも人権宣言を引いて応能負担をやるべきだと(いっている)。人類は、応能負担という民主的原則でやってきて、日本も戦後それでやってきたわけですね。やはりそこに立ち戻って、まず富裕層と大企業に負担を求め、それでも足らない分は、国民みんなで支えるが、そのときも力に応じた所得税の税制改革を行うと(いうことです)。

民主党政権になっても手をつけられなかった問題に切り込む

 二木 大体、共産党の試算としては18兆円から21兆円をひねり出すという数字で思い出すのは、2年半前に民主党が政権交代したときに、16兆8千億円をひねり出せるといったんですが、できなかった。多分、このときに、制度設計の思想には、多分民主党もこういうことは考えていたのではないかなと思うんですが。

 志位 民主党は、こういう財源論はもっていませんでした。そこに大きな問題点があったんです。

 二木 民主党は、公共事業、防衛費=軍事費ですね。それから原発は最近出てきた話ですが、政党助成金、このあたりは2年半前に実は民主党も(削減を)考えていたのではないかと。「コンクリートから人へ」と。

 志位 このなかで、民主党が多少とも手をつけようといっていたのが、大型公共事業だったんです。ところが、今度の予算案で八ツ場ダムは再開、東京の巨大道路も(建設)再開ということで、元の自民党(政治)に戻ってしまいました。

 軍事費は、米軍への「思いやり」予算をはじめ、政治の姿勢を抜本的に変えれば削れるわけですが、これは民主党では“聖域”です。それから、原発推進予算は今度約4000億円(予算が)つきました。ああいう事故があったのに、本当の安全対策に必要な約1000億円を除いて削っていくべきなのに、これも結局手がつかなかった。

 それから、政党助成金は私たちが一貫してなくせといっているんですが。

 二木 これは共産党だけがもらっていない。

 志位 ぜひ各党に呼びかけて、「これはやめよう」と、このぐらいから始めなければだめだと思います。どれも手がついていない。

 それから、富裕層と大企業のほうは、結局、民主党政権になっても手がつかなかった。証券優遇税制は自民党時代につくったものですが、株の取引や配当に10%しかかからない。こんな国は他にないんですが、これも結局延長しました。

 法人税も5%の新たな減税のばらまきです。こちらはまったく手がつかないという問題があります。

別の選択肢があることを太く示し、「今度は共産党」の流れをつくりたい

 (話題は、選挙制度の問題、「大阪・維新の会」の問題にうつりました。志位氏は、それぞれについて質問に答えた後、つぎのような発言でしめくくりました)。

 志位 国民のみなさん、いまの政治、社会にたいする閉塞(へいそく)感がたいへん強いでしょう。これを打開する方策を、共産党がどの分野でもしっかり示していくと、これが大事だと思っています。

 さきほどのべたように、財政の問題では、消費税に頼らなくても、ちゃんと日本の社会保障を良くして、経済も良くして、財政も良くしていく道があるんですよという、別の選択肢があることを太く示していく。外交でもそういう取り組みをやりたいと思っています。

 いまの政治を根っこから変えたら、閉塞状況を打開する展望が開けますよということを、私たちが訴えれば、いまの状況のなかで、「今度は共産党」という流れが、私は必ず広げられると思っております。


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