2012年2月27日(月)
皆保険制度守りたい
医療関係者 TPPシンポ
日本の医療制度に大きな影響を与えかねない環太平洋連携協定(TPP)について情報を共有し考えようと、医療関係者によるシンポジウム「TPPと日本医療の再生を考える」が26日、都内で開かれました。参加者からは、「TPPで国民皆保険を壊すことにならないのか」「あまりにメディアが情報を伝えていない」などの意見が出され、TPPの問題点を広く国民に伝え考えていくことが確認されました。
主催したのは、公的医療費の抜本的増額で日本の医療再生を目指そう、と呼びかける医師らでつくる「医療再生フォーラム21」。
シンポでは、経済評論家の三橋貴明氏が基調報告し、「今の日本経済の問題は内需の低迷で供給過剰となりデフレになっていること。米国産の食料やサービスを持ち込もうとするTPPは、供給過剰の解消に逆行して失業やワーキングプアを増やす」と強調。TPPは、アメリカ企業の要求で日本の社会制度まで変えさせようというものだと指摘しました。
5人のパネリスト全員が日本の皆保険制度は守るべきだという一致点を示しつつも、TPP参加によって外国人医師を受け入れて医師不足が緩和できるのでは、公的医療保険制度の解体の心配はさほどないのでは、などの意見もだされました。
パネリストの一人の全国保険医団体連合会の住江憲勇会長は、TPPによって混合診療の全面解禁が迫られ、医療の公定価格制度が「自由な競争を阻害する」とされかねない危険性を指摘。「雇用破壊で医者にかかれない状態がすでにある。TPPで内需がもっと落ちこみ雇用がズタズタになれば、仮に公的保険制度が残っても受診や治療継続ができない事態を生む」と主張しました。
医師不足解消への期待について三橋氏は、「だからTPPだとはならない」としてもっと医療にコストをかけるべきだとのべました。