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2012年2月25日(土)

「慰安婦」と住民虐殺削除

戦跡説明文 嘉陽議員が隠蔽追及

沖縄県

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 那覇市首里城公園近くにある旧日本軍沖縄守備隊・第32軍司令部壕(ごう)内の様子を紹介する説明板の文面から「慰安婦」「(日本軍による)住民の虐殺」の文言が削除された問題が、24日の沖縄県議会で取り上げられ、仲井真弘多知事は「私が説明を受けて承諾した」と関与を認めました。日本共産党の嘉陽宗儀(かようそうぎ)議員の質問に答えたもの。

 説明文は、県が指名した専門家5人でつくる検討委員会が昨年11月に最終案をまとめたもの。今月17日以降、県から記述削除の説明を受けたとして検討委員会が23日、下地寛環境生活部長に「削除撤回を要求する意見書」を提出して問題が発覚しました。

 嘉陽議員の削除撤回要求に下地部長は「知事の承諾をいただき私が決定した。元に戻す考えはない」と強弁。嘉陽議員は「歴史の真実を隠蔽(いんぺい)するものだ。沖縄県民は『あの悲劇を二度と繰り返してはいけない』と立ち上がり、県民大会も開いて改ざん攻撃をはね返してきた。戦跡保全は『沖縄戦を繰り返してはならない』との決意で行われるもの」と厳しく批判しました。

 仲井真知事は「1月20日ごろに説明を受けて了承した」と答え、「日本軍による住民虐殺」や「慰安婦」について「(異なる)証言が二つあり、県が責任を持つ説明板にその表現を入れるのは適切でない。(削除は)撤回しない」とかたくなな態度に終始しました。

解説

歴史の改ざん繰り返させない

 沖縄県が説明文から削除したのは、「慰安婦」と「司令部壕周辺では、日本軍に『スパイ視』された沖縄住民の虐殺などもおこりました」の2カ所。

 説明文案を作成した検討委員会は、考古学や沖縄歴史教育研究など県が指名した専門家で構成され、文案は全員一致でまとめられたものでした。しかし、県は「慰安婦の存在について肯定・否定の両方の証言があった」などとして「県として確証がもてないので削除した」(県環境生活部長)と強弁しました。

 これは、異論の存在を理由に、沖縄戦における「集団自決」の教科書記述に難癖をつけ、日本軍による命令・強制・誘導等の表現を削除・訂正した2007年の教科書検定意見を想起させるものです。

 この時、沖縄県民は歴史の真実をゆがめる動きを許しませんでした。県議会は検定意見の撤回を求める抗議決議を全会一致で2度可決。さらに、11万人が参加する「9・29教科書検定意見撤回を求める県民大会」を開いて反撃しました。

 今回の動きは、9・29県民大会が示した県民総意に真っ向から挑戦するものです。嘉陽県議が質問を始めるとヤジが飛び、自民党県連会長を務める県議が議事を止め、質問の緊急性に疑義を唱えました。

 同司令部壕は、保存と公開を求めて、日本共産党の渡久地修県議が調査・要求していました。「歴史の偽造また」。24日の地元紙は、住民虐殺を目撃した沖縄戦体験者の声や、削除を批判する研究者の談話を掲載。ニュースを知った市民が県議会の傍聴に訪れるなど県民の間に怒りが広がっています。(青野圭)


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