「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2012年2月24日(金)

主張

マイナンバー法案

問題ばかりが多すぎる 撤回を

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 野田佳彦内閣が国民一人一人に識別番号を割り振る共通番号制度制定に向けた法案(マイナンバー法案)を閣議決定し、国会に提出しました。年金・医療・介護・保育などの社会保障の負担と給付の個人情報、税・所得情報などを国が一括して掌握する仕組みです。政府は国民の「利便性の向上」などを盛んに宣伝しますが、国民にとっては番号悪用の危険が生まれ、個人情報漏えいリスクが高まるなど不利益しかありません。こんな制度は必要ありません。

社会保障抑制の道具

 政府は法案を開会中の通常国会で成立させ、2014年6月から赤ちゃんからお年寄りまで国民全員に番号(マイナンバー)を交付し、15年1月以降、社会保障についての相談や確定申告などで国と自治体の窓口で使えるようにする計画です。番号カードを国民に持たせることも予定しています。医療・介護などの自己負担合計額に上限を設定することや年金支給額の間違い防止などの「利点」を挙げますが、これは番号がなくてもできることです。

 政府は「社会保障がきめ細やかかつ的確に行われる」などとバラ色の幻想をふりまきますが、狙いは全く別のところにあります。社会保障の給付削減・抑制をいまより「効率的」に実行する道具として位置づけているのです。同制度導入を長年要求してきた日本経団連の米倉弘昌会長は「社会保障関連の歳出について徹底的な合理化・効率化を進めるべき」と明言し、その具体的方法として「社会保障・税共通番号の導入」を強調しています。同法案を担当する古川元久国家戦略相も「(社会保障を)本当に必要な人にはきちんと給付を行う一方で、そうでない人には遠慮してもらう。そのための重要なインフラ」と選別の手段に使うことを公言しています。番号制度を給付削減のテコにする狙いは明らかです。

 国が、国民の負担と給付の状況を「効率的」につかむことで、“この人は保険料負担に比べて給付が手厚すぎる”などと機械的に数字で判断し、医療や介護の給付をカットしたり、受診制限につなげたりする事態を起こしかねません。社会保障給付を負担との「対価」として扱うこと事態、国民の権利である社会保障の理念とはまったく相いれません。

 個人情報保護対策はお寒い限りです。共通番号は個人に配られるカードにも記載されるため、誰でも知ることができます。共通番号が知られれば、医療や介護、所得などの個人の秘密にもかかわる重要な情報が、他人の手に渡る危険が格段に増加します。共通番号が広く普及しているアメリカでは、「他人になりすます詐欺」によるクレジットカード被害などが続発しています。政府は、第三者機関によるチェックや罰則強化をするとしていますが、国民全員の個人情報という膨大なデータに対応できる体制ではありません。

百害あって一利なし

 国民のプライバシーの侵害につながる番号制度の導入は将来に禍根を残します。社会保障のきめ細かな給付や丁寧な対応・相談の充実は、国や地方自治体の人的体制の整備などによってこそ実現できるものです。国民にとって「百害あって一利なし」の共通番号制度法案は撤回するしかありません。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって