2012年2月22日(水)
給費制廃止 司法修習生に負担
「貸与」前から借金358万円 「ネット」が調査
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法律家の“卵”である司法修習生に国が給与を支払う「給費制」の廃止が修習生に大きな不安を与えている―。21日、法律家を目指す若者や若手弁護士でつくる「ビギナーズ・ネット」のアンケート調査で、その実態がわかりました。同ネットでは、給費制の復活を強く訴えています。
昨年11月で、廃止となった給費制に伴い、生活費用が必要な修習生には、国がお金を貸す「貸与制」が導入されました。
ビギナーズ・ネットでは、同月から研修がはじまった新65期の司法修習生396人からアンケートを回収。
その結果、回答者の53%がすでに法科大学院の奨学金などで、借金を抱えていることが分かりました。返済の必要な奨学金の額も平均358万円となっており、1200万円を抱える修習生もいました。
さらに回答者の半数以上が、すでに奨学金の返済を始めており、返済額は月平均約1万9000円となっています。
都内で行った会見で、同ネットの黒澤有紀子弁護士(新64期)は「アンケートでは、『親に経済的負担をかけていることが悲しい』などの声が寄せられた。私の場合300万円の奨学金がある。もし貸与制だったら600万円の“借金”になっていた。ぜひ給費制に戻して、“卵”たちが安心して修習を受けられる環境に戻したい」と訴えました。
借金で交通費・保険料・書籍代
◆貸与金という借金を衣食住にあてていること自体、情けなくなります。妻子がいるのですが、家族の年金や健康保険も貸与金から支払っています。
◆修習生としての身なりを整えるため、スーツや靴を買いそろえなければならず、修習に必要なパソコンも購入。遠い実家から(修習先に)通っており、交通費は1日2500円かかります。すべて借金で払わなければならず、苦痛です。
◆就職が決まっておらず、返済できる自信がない。
◆食費も極力抑えるようにし、欲しいと思う法律の書籍購入も我慢。経済的に余裕があれば、もっと勉強に専念できるのに。(アンケートの声から)
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