2012年2月22日(水)
子育て新システムで保育は(1)
待機児童なくなるの?
公的責任の後退で保障なし
政府は、保育制度の見直しなどを盛り込んだ、子どもと子育てにかかわる「新システム」づくりの法案を国会に提出しようとしています。
「新システム」は、保育や子育てをどう変えようとしているのか、子育ての未来を託していいのか考えていきます。
期待と大きな違い
「働かないと生活できないのに保育所がない」「内定した就職先がダメになった」―。保育所不足は子育て世代に深刻な打撃を与えています。保育所に入れず困っている人は、近い将来子どもを預けて働きたいという人も含めると数十万人規模にのぼります。「新システム」でそんな現状が解決できるのでしょうか。
いいえ。「待機児童が解消できる」「誰でも保育を利用できる」とマスコミでも大きく宣伝されましたが、そんな期待とは大きく違っています。
一番の問題は、「新システム」では、親の仕事などで保育に欠ける子どもを保育する自治体の責任(児童福祉法第24条、市町村の保育実施義務)をなくそうとしていることです。保育は民間事業者のサービスにゆだね、自治体の仕事は事業計画の策定や補助金給付などに限定しようというのです。
世界の流れに逆行
保育所整備がこれほど必要な時に、国と自治体が保育に責任をもたない制度にしてしまっては、待機児童問題解決の土台そのものが崩されます。
保育所をつくることは、父母の働く権利を保障し、子どもが健やかに育つ環境をつくる国と自治体の大切な仕事です。国連の女性差別撤廃条約やヨーロッパ諸国でも、保育の公的な保障が当たり前とされています。「新システム」は待機児童問題の解決からも、世界の流れとも逆行しています。
また政府は、幼稚園と保育所を「一体化」すれば待機児童解消がすすむといってきましたが、これも困難です。なぜなら待機児童の9割を占める0〜2歳児受け入れを「一体化」施設(総合こども園)には義務付けないと決めたからです。
3歳以上しか保育経験のない幼稚園には0、1歳児受け入れは簡単ではありません。経験ある保育士の確保、給食施設整備など多くの課題があります。今ではマスコミも“待機児童解消は困難”と指摘しています。
(日本共産党女性委員会・米沢玲子)(つづく)