2012年2月22日(水)
予算歳入関連法案などに対する
佐々木議員の代表質問
衆院本会議
日本共産党の佐々木憲昭議員が21日の衆院本会議で行った2012年度予算関連国税・地方税法案などに対する代表質問の要旨は次の通りです。
野田内閣は「社会保障・税一体改革大綱」を閣議決定しました。消費税を10%に引き上げて国民のふところから新たに13兆5千億円も取りあげながら、社会保障の「充実」には5分の1の2兆7千億円しか回さない、あとは「安定」のために使うというのが、政府の説明です。
改悪メニューがめじろ押し
ところが「大綱」を見ると、改悪メニューがめじろ押しです。物価スライドなどを理由とする年金の削減、医療の窓口負担の増加、介護保険利用料の負担増、子ども手当の削減―これだけでも2兆7千億円になります。「充実」部分は完全に吹き飛んでしまうではありませんか。
年金の支給開始年齢を68歳、70歳に先延ばしされたら、さらに6兆円から10兆円の支給削減になります。志位委員長の予算委員会での指摘にたいして、野田総理はその事実を否定できませんでした。
国民に消費税大増税も社会保障改悪も押しつける「一体改悪」の内容が分かるにつれ、多くの国民が反対の声をあげています。それでも国民に押し付けるつもりですか。
自見大臣にお聞きします。前回の総選挙で国民新党は「消費税は引き上げない」とマニフェストに掲げたにもかかわらず、なぜ消費税増税を含む「大綱」に署名したのでしょうか。国民に対する重大な背信行為だと言わなければなりません。
これまで「消費税増税に反対だ」と答弁してきましたが、「大綱」に賛成しておきながら、それを具体化した「法案」に反対できるはずがないではありませんか。
衆院定数80削減 国会に押し付け
さらに重大なのは、「大綱」で「衆議院議員定数を80削減する法案等を早期に国会に提出し、成立を図る」としていることです。選挙制度は議会制民主主義の根幹をなす問題であり、政治的立場を超え、真摯(しんし)に議論して国会が決めるものです。各党が参加する協議会で議論しているさなかに、なぜ野田内閣が勝手に決めて国会に押し付けるのでしょうか。
「大綱」は「消費税率引き上げまでに、国民の納得と信頼を得るため」と、消費税増税を押し付ける“地ならし”と位置づけています。増税と議員削減はまったく別の問題なのに関連づけることは筋違いではありませんか。
日本国憲法は、「政府の行為」によって惨禍が起こることのないようにすると決意し、「主権が国民に存する」ことを宣言しています。その主権者・国民を代表しているのが国会議員です。国会議員の定数削減によって切られるのは、国民の声の“伝え手”であり、国民の声そのものです。国民の声を切り捨てておいて、国民に増税を押し付けるという政府の大暴走を断じて許すことはできません。
消費税増税の、もう一つの“地ならし”とされている国家公務員給与削減についてです。労働基本権制約の代償措置である人勧制度さえふみにじり、来年も再来年も、公務員労働者に不利益となる大幅な賃下げを押し付けることは、二重の憲法違反であり許すわけにはいきません。
官民労働者の賃下げの悪循環を招き、内需を冷え込ませるだけです。直ちに撤回すべきです。
租税特別措置法案には3月末に期限を迎える研究開発減税の上乗せ特別措置延長や、海外投資等損失準備金の延長が盛り込まれています。
今年度の研究開発減税は98%が大企業向けで、467社の大手企業のみが利用する見込みです。海外投資損失準備金は約50件程度であり、ごく一部の大企業への優遇措置です。特定の大企業への実質補助金と化しているこうした措置は直ちに廃止すべきです。
自治体の役割果たせない
来年度の地方財政計画について政府は、地方の歳出を「国と基調を合わせて」抑制するとした、一昨年6月の「財政運営戦略」に基づいて、一般行政経費、人件費、投資的経費を削減しています。
一般行政経費単独では「社会保障関係経費以外」の削減枠を設けています。社会保障改悪と貧困の拡大によって増加せざるを得ない国保会計への一般会計からの繰り入れや就学援助などの抑制につながるのではありませんか。これでは、住民の福祉を守る自治体の役割を果たすことはできません。
公債特例法案についていえば、2012年度予算案の一般会計の歳入総額90・3兆円のうち、公債金額44・2兆円に対して税収は42・3兆円にとどまっており、公債依存度は昨年よりも増えて49%です。公債金額のうち赤字公債は38・3兆円であり、過去最大であった昨年度をさらに上回っています。
無駄を削減し不公平税制正せ
今やるべきことは、八ツ場ダムなどの無駄な大型開発、米軍への「思いやり予算」の削減、原発推進予算の大幅削減、政党助成金の廃止などの歳出の改革です。歳入面では富裕層や大企業優遇の不公平な税制を改めることです。
日本共産党は先日発表した「提言」で、12兆〜15兆円の財源確保ができることを具体的に示しております。この方向でこそ危機打開ができることを強調して質問を終わります。