2012年2月22日(水)
教育無償化は世界の流れ
給付制奨学金の実現を
衆院委 宮本議員が主張
日本共産党の宮本岳志議員は21日の衆院予算委員会で、「無償で教育を受ける権利を保障するのが世界の常識となっている」と述べ、返済の必要のない給付制奨学金をただちに実現するよう求めました。無償化へと向かう世界の流れからも大きく立ち遅れている日本政府の姿勢が浮き彫りになりました。
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宮本氏は、玄葉光一郎外相が国際人権規約に定められた中等・高等教育の「漸進的無償化条項」の留保撤回を表明(9日の衆院予算委員会)したことについてただしました。1979年に条約を批准して以来、同条項を留保しているのは日本とマダガスカルだけとなっていました。
宮本 非常に大事な決断だ。撤回することにした理由は何か。
玄葉外相 高校の授業料無償化が大きな弾みとなり、大学生への奨学金の予算が拡充傾向にあることから撤回すべきと判断した。
宮本氏は、無償教育導入の努力を進めていくことが国際公約になると指摘。玄葉外相は「いったん撤回したら、取り消すなどできない」と認めました。
宮本氏は、OECD(経済協力開発機構)加盟30カ国中「授業料が有料で給付制奨学金がない」のは日本だけだと国会図書館調査資料で提示。文科省が概算要求で給付制奨学金を求めながら、予算計上をなぜ見送ったのかとただしました。
宮本 学業をあきらめざるをえない若者を見捨てるのか。
安住淳財務相 「所得連動返済型奨学金」を導入した。返済してもらった方が貸与にまわる。
平野博文文科相 (所得連動返済型創設で)一歩前進、二歩前進として対応している。
宮本 学生の厳しい実態がわかっているのか。月額10万円を4年借りれば利子も含め650万円も返済が必要だ。
所得連動返済型奨学金とは、年収300万円以下世帯の学生を対象とした奨学金です。
宮本氏は、イギリスが給付制を廃止して所得連動返済型を導入したものの、教育が保障されず給付制を復活させたことを紹介し、「給付制の代わりにはならない」と強調。被災した宮城の学生から「1年休学して学費と生活費をためている。学業に打ち込めるよう給付制を実現してほしい」との声があがっていることをあげてただしました。
宮本 子どもや若者に奨学金と名付けて金を貸し、利子まで背負わせる。これで救われると思うのか。
平野文科相 経済的な困窮で学ぶ機会が失われないように努力しなければならない。
平野文科相が、給付制奨学金の導入に努力したいと表明したのに対して宮本氏は、必要な予算は高校生向けで102億円、大学生向けで147億円であることを指摘。米軍への「思いやり予算」のわずか7分の1、政党助成金320億円にも及ばないと述べ、予算を修正し、給付制奨学金を実現するよう強く求めました。
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