2012年2月21日(火)
主張
「一体改革」対話集会
不安解消には出直すしかない
野田佳彦政権が、消費税増税など「社会保障・税一体改革」のための対話集会をスタートさせました。「明日(あした)の安心」対話集会と名づけ、各閣僚が各地を回ります。
初日(18日)の集会では疑問が相次いだと伝えられます。「消費税を増税して景気は大丈夫か」「年金は保障されるのか」…。新聞などの調査でも、社会保障の財源が必要だというのはわかるが、政府の消費税増税案には「反対」というのが、5、6割にのぼっています。国民の不安解消には、消費税増税をしゃにむに押し付けるのではなく、消費税増税に頼らない案を検討すべきです。
政府案への支持広がらず
「社会保障制度を維持するために消費税率の引き上げが必要だ」59%、「必要だと思わない」29%、消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げる政府案に「賛成だ」40%、「反対だ」49%―もっとも新しい、20日付「日経」の調査です。消費税増税を「社会保障制度を維持するため」とするなど設問に問題はありますが、それでも政府案への批判は明らかです。新聞によっては、「反対」が6割にのぼる調査もあります。
「社会保障・税一体改革」と称して消費税の大増税を打ち出した民主党政権は、昨年6月に「一体改革」の「成案」を、昨年末から今年にかけて「素案」をまとめ、ついに先週には「大綱」を閣議決定して3月末までの法案提出を目指しています。にもかかわらず、国民の間では消費税増税への理解が広がるどころか不安があとを絶ちません。「反対」の声が圧倒的になっているのが特徴です。このまま進めるのは、まさに国民の声を踏みにじる「暴走」です。
政府が主催した対話集会でも、消費税を増税した場合の年金や医療、介護、子育てなど社会保障への不安がたくさん出されているのは見落とせません。これまでの政権は「社会保障のため」といって消費税を導入・増税しながら、充実するどころか、「財源が足らない」と、年金も医療も介護も後退に次ぐ後退を重ねました。民主党政権への信頼も公約破りで地に落ちています。「一体改革」だといっても信じられないのは当然です。
消費税が導入された1989年度から12年度予算案までの消費税収251兆円は、法人税などの減収233兆円の穴埋めに消えたという数字もあります。しかも民主党政権の「一体改革」案は、年金支給額の引き下げや支給開始年齢の引き上げ、医療費の患者負担増など、軒並み改悪する計画です。増税に加えて社会保障が改悪されれば、暮らしも経済も破綻します。国民が政府案の消費税増税を支持するどころか、不安と批判を募らせるのは当然です。
消費税増税に頼らない
国民は社会保障の充実を願い、財源を懸念しています。国民の批判と不安にこたえるには、一から議論をやり直し消費税増税に頼らない財源案を検討することです。
日本共産党は、後退した社会保障の再生はまずムダの削減と大企業・大資産家の応分の負担で、そのうえで先進水準の社会保障は国民全体が応能負担の原則で支えることを、経済の立て直しとあわせて提案しています。
政府が不安を受け止めるなら、まず消費税増税の押し付けをやめることこそ、急務中の急務です。