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2012年2月20日(月)

衆院選挙制度改革

穀田恵二国会対策委員長に聞く

「民意ゆがめる」小選挙区制から「民意反映」選挙制度への改革を

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 衆院選挙制度を協議する各党協議会で15日、樽床伸二座長(民主党幹事長代行)が「座長とりまとめ私案」を提示し、今週早々にも与野党書記局長・幹事長会談が開かれようとしています。改革をめぐる論議の現状と焦点について、各党協議会メンバーの穀田恵二・日本共産党国会対策委員長に聞きました。


写真

(写真)穀田恵二国会対策委員長

 ―座長の樽床氏が「比例定数80削減」を明記した「座長私案」を出しましたが、どのような議論になっているのでしょう。

抜本改革が必要

 穀田 樽床氏が示した「座長とりまとめ私案」は、協議会の「とりまとめ」といいながら、昨年からの11回にのぼる各党協議会の議論をまったく踏まえていません。

 一つは、私案に書き込んだ「比例定数80削減」は民主党の決定そのままで、自民党も「民主主義破壊の暴挙」と批判し全ての党が反対を表明していることを全て無視しています。しかも、「政治家が自ら身を切る姿勢を率先して示すため」と書いています。これは消費税増税の「一体改革」でいっていることと同じで、まるっきり筋違いの議論です。

 二つに、昨年10月からの各党協議で多くの党が議論してきたのは、現行の小選挙区比例代表並立制のもとで民意が大きくゆがめられていることが問題であり、制度の抜本改革が必要だということです。ところが私案は、「0増5減」の格差是正で小選挙区制を維持しておいて、「現行の並立制をベース」に「比例削減」によって、さらに民意を過度にゆがめることを前提に、何らかの「補正」をする、というのです。民意をゆがめる制度の改革を問題にしているときに、さらに民意をゆがめる提案をしてくる、とんでもない話です。そして、本格的な選挙制度改革は、次回総選挙の後に選挙制度審議会をつくって検討するというのですから、抜本改革は棚上げということになります。当然、各党からも「いきなり(比例定数)80削減とはどういうことか」「この間の議論が反映されていない」など、厳しい批判があいつぎました。

 自民党だけは、座長私案に対し、「補正するというのだから単純な比例80削減ではないので一歩前進」と評価し、小選挙区間の格差是正の区割り作業を優先して進めることを主張しました。ところが、樽床座長は自ら「補正する」といいながら、その内容や定数削減の幅についての議論は、民主党の決定にかかわるので座長の権限の範囲を超えているとして、与野党書記局長・幹事長会談にいったん報告するといいだしているのです。

 ―2月25日までには結論をださないといけないといわれていますが。

 穀田 それは現行の小選挙区比例代表並立制の維持・存続を前提にした議論です。現行制度では、2010年の国勢調査結果をふまえ、区割審が1年以内に小選挙区の新たな区割り案の勧告を行うと規定しており、25日が勧告の期限となります。民主党や自民党は、25日の「期限」を強調し、小選挙区の区割り作業の法改正を先行決着させたいのです。小選挙区間の格差是正の区割りを先行させるのでは、小選挙区制を維持・固定化し、抜本改革の議論を棚上げしてしまうことになります。しかも、座長私案の小選挙区「0増5減」案(もともと自民党案をまるのみしたもの)は、国勢調査人口で配分し直すものではなく、小選挙区間の格差をとりあえず2倍未満におさえる便法的手法のものです。いま急ぐべきは、抜本改革の議論です。

 ―先週17日に野田内閣が閣議決定した「増税大綱」にも「議員定数80削減」が明記されました。

国会の役割とは

 穀田 「定数80削減」の旗をかかげ「政治家が自ら身を切る」を声高に叫んで消費税増税を国民に押し付けようとする意図がよりはっきりしました。冷静に考えなければならないのは、議会、国会とは何かということです。憲法は「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存する」と宣言しています。政府を暴走させないようにする、それが国民の代表で構成する議会の最大の役割です。主権者の民意を反映するための国会議員を削減して「国民の身を切り」、消費税増税で「国民に負担」をおしつける、これが「身を切る改革」の正体です。

 しかも、議員定数をふくめ選挙制度をどうするかは、議会制民主主義の根幹をなす問題です。増税政策の賛否といった政策的立場をこえ、真摯(しんし)に議論して国会が決めるべきものです。いま各党で協議をしている最中に、政府の閣議決定(「増税大綱」)で議員削減を決めるなど前代未聞です。民主主義に反する政府決定は許されない、撤回を求めます。

 ―小選挙区制の問題点の議論が必要と強調されていますが、比例定数削減を許さず、抜本改革を実現するため、大事なことは。

国民的な議論を

 穀田 昨年10月から始まった各党協議会で重要なことは、小選挙区制導入18年にして、制度そのものの是非が全党参加の協議の議題になっていることです。そして、現行並立制が国民の投票結果を正しく議席に反映せず大政党有利に民意をゆがめていることについて、民主党以外のすべての党(限定的に指摘する自民党もふくめ)の共通した認識となっていることです。4割の得票で7割の議席を獲得し、過半数の民意が「死票」となって切りすてられ、「虚構の多数」にたつ政権のもとで「政治の堕落・劣化」が進んでいる。小選挙区制導入を推進した政党・政治家をふくめ、多くの人が立場を超え民主主義の危機を感じているのです。国民の間でも世論調査で「抜本改革」を求める声が7割を超えています。

 そうしたなかで「民意を反映する選挙制度の実現・比例定数削減反対」の運動が広がっています。大手メディアが「消費税増税は避けられない」「政治家はまず身を切れ」と政府と同様の論調をするなかで、国民の中からこうした運動が広がっていることが重要です。さらに国会内外で「抜本改革」の流れをつくるためには、小選挙区制のもとで民意・国民の声がどういう状況におかれているか、国民的なレベルで考え、大いに議論することが大事です。そのことが、比例定数削減の策謀をうちやぶり、民意を反映する選挙制度を実現していく力になっていくと思います。


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